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レ・ミゼラブル(2012) : インタビュー

2012年12月18日更新
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愛妻に励まされ、ジャン・バルジャン役の重責を全うしたヒュー・ジャックマン

今年8月にシリーズ続編「ウルヴァリン:SAMURAI」の撮影のため、日本を訪れていたヒュー・ジャックマンが、主演最新作「レ・ミゼラブル」のプロモーションのため再来日した。世界43カ国で上演され、27年間というロングラン記録を打ち立てたミュージカルの最高峰を映画化した作品。舞台からキャリアをスタートさせ、今やハリウッドのトップスターとして人気を集めるジャックマンが、喉から手が出るほど欲しかったというジャン・バルジャン役について、またノミネートが期待される来年2月のアカデミー賞について語った。(取材・文/本間綾香 写真/片村文人)

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「英国王のスピーチ」でアカデミー賞監督賞に輝いたトム・フーパーが、オスカー受賞後初めてメガホンをとった新作「レ・ミゼラブル」。19世紀のフランスを舞台に、格差と貧困にあえぐ民衆の魂の叫びを描いた物語は、現代の私たちにも強く訴えかけてくるものがある。

舞台出身のジャックマンが、「これほど積極的に役柄を欲しいと思ったことは今までなかった。どうしてもつかみたかった」と語る主人公ジャン・バルジャンは、パンを盗んだ罪で19年間投獄された男。仮釈放後、孤児コゼットを育てるためにバルジャンは警官ジャベールの執ような追跡をかわす一方、パリでは若者を中心とした革命の勢いが激化していく。

「出演が決まってからも、プレッシャーや責任に身が引き締まる思いだった。とてもエネルギーを必要とする作品であることは分かっていたし、自分の限界以上のものを要求されるだろうと覚悟していたからね。妻(女優のデボラ=リー・ファーネス)に“ベイビー、これは大変だ。やり遂げられるか心配だよ”と話したら、 “もしジャン・バルジャンを演じるのに不安を感じていなかったら、あなたはこれを演じる資格はないわ”と言われたんだ。それぐらい広く知られたキャラクターだからね。恐れを感じて当たり前だと諭されたよ」

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通常、ミュージカル映画は先に歌を録音し、数週間後それに合わせて演技をするが、この映画は歌も演技も同時に撮影するという、役者にとってはチャレンジングな手法が採用された。キャストは撮影に向けて、8~9週間というかなり長い期間リハーサルに取り組んだそうだ。

「生で歌いながら演技するというのは、キャラクターがそのときに感じた気持ちをそのまま表現できる自由や楽しさがある。歌のトーンもスピードも、演技に忠実に合わせられるんだ。走っている列車に合わせて飛び乗るのではなく、自分自身が列車を運転しているようなものだよ。もちろん、1つ1つのテイクにものすごく集中力がいる。毎日10~12時間撮影してヘトヘトでも、常に演技と歌がマッチしたベストのパフォーマンスを見せなければいけないからね。毎日が舞台の初日のような気分だったし、とてもエキサイティングであると同時に緊張したよ」

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舞台ならば、客席の奥まで聞こえるように声を張り上げ高らかに歌うところを、映画ではよりキャラクターの気持ちに添って表現できたと言う。たとえば、バルジャンが自分の代わりにとらえられた人間に罪を負わせ逃げるか、新たに手に入れた人生を捨て名乗り出るか、苦悩する場面で歌う楽曲「フー・アム・アイ」。ジャックマンは、良心の狭間で揺れるバルジャンの必死の思いを、静かにかつ力強く歌い上げている。

「トム・フーパーは天才だよ。彼は各シーンで要となるポイントや考え方を僕に示してくれた。まだ40歳と僕より若いのに、落ち着いていて毅然としている。彼と話していると、自分より年上のような気がしてくるんだよ(笑)。今回彼が選択したリスクを考えてみてほしい。オスカーを取った後の1作目が、ミュージカル史上もっとも有名な作品の映画化だ。ミュージカル映画は最大のトラップだということは誰もが知っている。これほど失敗しやすい作品はないからね。でも、トムが現場で下す判断はいつも勇敢で正確だった。彼は俳優が一緒に仕事をしたいと思う夢のような監督だ」

本作は全米の批評家らに絶賛されており、ジャックマンは先日、ゴールデングローブ賞主演男優賞(コメディ/ミュージカル部門)にノミネートされた。当然、アカデミー賞に向けて期待は膨らむ。
 「受賞したい人にとって、オスカーについて話すことはアンラッキーだと言われているけれど、正直に言えば、僕は欲しいかと聞かれてノーとは言わないよ(笑)。これまでマーロン・ブランドをはじめ、何人かの俳優はノーと言ったらしいけれどね」

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