「映画史に燦然と輝く奇作」未知との遭遇 ファイナル・カット版 ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)
映画史に燦然と輝く奇作
圧倒的な画作りとプロダクトデザイン、完璧な演出とジョン・ウィリアムスによる音楽で否が応でも盛り上がる終盤。
すべての要素がものすごい感動的なピークを迎えて終わる。
なのに、なぜ感動させられているのか、なにに感動しているのか、よくわからない。
アメリカ映画の国是である家族と敵への勝利を完全に否定して、とくに前者に関しては監督本人が後年になって反省していたというけど、私は好きだ。
「ジョーズ」が紛れもなく王道のエンタメだったことに比べると、この作品が伝えてくるメッセージはきわめて異質なもの。
だけど映画としてはジョーズ以上の強度を感じる。
子供がさらわれるシーンのホラー的演出とか、主人公の異様さが決定的になるところとか、なんて言ったらいいかわからないけど、とにかく説得力がずば抜けている。
そのことが空恐ろしくもなる奇作。
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