「玄人好みの戦闘と統制」13ウォリアーズ Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
玄人好みの戦闘と統制
総合:80点
ストーリー: 75
キャスト: 75
演出: 80
ビジュアル: 75
音楽: 65
マイケル・クライトンの「北人伝説」というのが原作です。興行収入的にはこけたみたいですが、でもなかなか迫力がある映画です。
一部では「七人の侍」に影響されている映画だという話もあるそうです。ですが大昔の北欧を舞台にしていて、物語もそれなりに違っていてあまり「七人の侍」という感じはしません。実際、原作は10世紀に書かれた実在の人物による彼の経験した手記が基になっており、「七人の侍」と同様にたまたま戦士が救援依頼を受けて命懸けで村を守るという状況が似ているだけで、映画としては関係がないように思えます。風景も北国の森林で雰囲気が違うし、兵士の戦いも生々しく残酷だし、敵は明らかに北欧のバイキングとは違う者たちだし、「七人の侍」とは全く違う雰囲気。
救援に行った村には村のやり方があったり彼らなりに誇りを持った地元の戦士がいたりして、敵と戦う前にまず味方であるはずの彼らを統制する必要がある。そこでそうするために戦士達が取った残酷で実践的なやり方が真に迫っていた。いきなり暗闇で不意打ちを受けるしCGなど使わず斧を振り回していく戦闘場面もなかなかの迫力だった。夜襲を受けて敵の姿すら確認出来ないことに批判も多かったようだが、それがかえって本当の夜襲らしいし敵がわからないことが不気味に感じる。そのような物語の組み立て方と戦闘が現実に即していて真に迫り玄人好み。
そしてまだまだ科学もなくて神秘の支配する時代に、化け物なのか何なのか正体もはっきりわからない敵。それが実はこんな相手だった、というのもちょっと衝撃的だが、まだ未開の時代の未開の地というのだから似たようなことはあり得そうと思わせる(原作ではネアンデルタール人をほのめかしている)。こんなに寂しい何もないものなのかと最初はちょっと驚いたみすぼらしい村も、よく考えれば当時の社会の経済力と技術力ではこんなものかと思えばむしろ現実に忠実かもしれない(原作では立派な城になっている)。
それぞれの戦士の背景があまり語られないからどのような戦士がいたかということが印象に残らないし、見ていて深く思い入れをすることが出来ないというのはちょっと減点要因。それに最後はちょっと結論が急に来たという感じは受ける。それでも戦いの統制と過程・戦闘場面がけっこう良く出来ていて、そのあたりをけっこう納得させてくれる作品になっているのではないかと思います。でもその戦闘の描写の生臭さのため故に、女の人には向いていない映画かもしれません。