デジモンアドベンチャー02 前編 デジモンハリケーン上陸!! 後編 超絶進化!!黄金のデジメンタルのレビュー・感想・評価
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デジモン映画史上、最も異色でシリアスな作品。全体的に独特で重く不気味かつ難解だが観終わったあとのなんとも言えない余韻がクセになる不思議なロードムービー。
とある夏の日の出来事。突如、日本とニューヨークでかつての選ばれし子供たちがいなくなる謎の連続失踪事件が発生。偶然、ニューヨークでその事件を目撃した高石タケルと八神ヒカリは日本で夏休みを満喫していた本宮大輔、井ノ上 京、火田伊織をニューヨークへ呼び寄せるが2人の背後に何者かが忍び寄る。一方、渡米したのはいいがお金がない本宮ら4人はヒッチハイクを繰り返しながら目的地である田舎町 サマーメモリーを目指していた。その途中、アメリカの選ばれし子供であるウォレスと出会う。この出会いがやがて全員を巻き込む激しくも切ないバトルへと発展していく…。
「デジモン」シリーズ2作目のTVアニメ「デジモンアドベンチャー02」を1クールの放送が終わったタイミングで映画化。本作は「〜02」の番外編にあたるとされている。キャラクターデザインがTVシリーズとかなり異なり癖があり濃ゆいが、迫力があり細かい描き込みで繰り広げられるバトルシーンは必見。監督は山内重保、脚本は吉田玲子。選ばれし子供たちとパートナーデジモンはTVシリーズと同じ声優陣が引き継ぎ担当。雰囲気に合わせて掛け声のイントネーションを変えるシーンと本宮がウォレスに同情し、涙を流すシーンは一見の価値あり。ちなみに本作の一年後を描いたドラマCD「〜夏への扉」というものがあり、演出 山内重保と脚本 吉田玲子の本作を手がけたコンビが担当し本宮とウォレスの再会と二人を取り巻く謎の少女の出会いをコメディ要素を含めつつ映画の雰囲気を崩すことなく描いているため本作を観終わった方はぜひ聴いてみては。娯楽性を追求した前作「〜ぼくらのウォーゲーム!」とは真反対で全体的にノスタルジックな雰囲気と長めでゆったりとした尺の長さなどアメリカのロードムービーを意識した作風で作品テーマも 戻れない過去となっておりストーリーも選ばれし子供たちが夏休みを満喫している楽しそうなオープニングから一変し不気味な世界観と葛藤や同族殺しなどシリアスな描写がかなり多め。台詞ではなく映像で語る難解な演出と主題歌のAiM(前田愛)が歌う「スタンド・バイ・ミー〜ひと夏の冒険〜」が流れるエンディングと観終わったあとのセンチメンタルな余韻はTVシリーズでは到底味わえないはずだ。
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