「宗教と科学同一の方向性。何十億年の孤独を癒す方法。」コンタクト コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)
宗教と科学同一の方向性。何十億年の孤独を癒す方法。
内容は、カールセーガンの同名の小説をヒントに妻が脚本を書き上げた作品をゼメキスが映画化。幼い時に両親に先立たれた孤独を感じる娘エリーが大人になり自分の孤独と向き合い様々な出会いの中で、途方も無い焦りと孤独感から解放される一人の女性エリー・アロウェイ博士の成長譚。印象的な台詞は沢山ありすぎて名言の宝庫だと感じますが、『あの経験は知性ぢゃ及びもつかない』アロウェイと牧師のピロートークと『証拠は無い。しかし私の全存在が事実だと告げています。』最後のアロウェイ法廷弁論での一言。結果、宗教と科学の目指す所は同じだと言う所が上手い映画の構成で素晴らしいと感じました。映画の構成の妙を絶妙に感じさせる見せ方は勉強になります。印象的な場面は、ニューメキシコ州の電波望遠鏡をバックに渓谷で一人佇むアロウェイ博士が美しかった。孤独で膝を抱え込む姿が印象的な博士が、最後では悲壮感を感じさせない爽やかな表情として風景に溶け込む姿は、魂が浄化されました。何せあの大きなアンテナ📡📡📡あれだけで贅沢な構図に圧巻の一言です。印象的な状況は、やはり異次元の旅行風景です。2001年やインターステラーなどの作品に並ぶぐらいに力の入った映像だった様に感じます。我々は気付く孤独を癒すのは"お互いの存在"なのだ。作者が言いたかった事が集約されている様に感じます。難解で長い小説なのに変に宗教ぶる事もなく折り合いをつけた纏め方に凄さを感じます。アロウェイ博士の成長物語として、あれほど父親に『焦らない気長に』と言われたのに忘れ、自暴自棄になりかけの博士が、強気な傲慢さで身を守り寂しさの裏返しで必死に抵抗する姿から、自分達の存在に気付き孤独では無い事を知って、証拠に拘らず信念を抱く姿には見ていて元気づけられました。作品の尺の構成や小物も何回か見ても発見があり面白い作品です。方位磁石や形見の指輪や一握の砂や明治神宮のお札?!これぞ日本?など楽しめました。強引にも繋げる物語が時間経過を麻痺して分かりづらく見えるかも知れませんが、構成も演技も台詞も素晴らしく意図した思いが読み取れる長さを感じさせない素晴らしい映画です。