「私の全てが信じている」コンタクト 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
私の全てが信じている
思い出しレビュー11本目。
『コンタクト』
監督ロバート・ゼメキス×主演ジョディ・フォスターの顔合わせで、カール・セーガンのSF小説を映画化。
地球外知的生命体との接触を図る女性を描いたSF作だが、様々な要素が織り込まれ、SFというよりヒューマン・ドラマとしての見応えの方がある。
SF考察。とにかくこういう知的SFが好きなので、ワクワクしながら見た。特に前半の、地球外からの謎の音と接触する展開はゾクゾク!
政治、宗教。政治が関わるのは当然としても、テロリズムに走るカルト宗教が理解出来ない。何故、人類永遠の夢を祝福出来ないのか。そもそも考え方が違うのだろうけど…。
愛。主人公エリーは政府の宗教顧問の青年と恋に落ちるが、亡き父への愛こそ終盤大きな意味を持つ。
哲学。何を信じるか。
これが本作の最大のテーマだと思う。
エリーは建設されたマシーンのポッドに乗って、未知の宇宙へ旅立つ。
それは言葉に表す事が出来ないような、超次元な体験。
また、彼女の心に触れるもの…。
やがてエリーは地球に戻るが、周囲の反応は落胆そのもの。あらゆる映像が、ポッドはただ垂直に落下しただけ。
エリーは政府の調査を受ける事になる。
彼女の言う事、見てきた事、体験してきた事は本当か…?
それとも…?
普通に考えれば、にわかには信じ難い。
何の証拠も無い。
だからと言って、それを全て虚言と片付けていいものか。
誰も想像し得ない未知の体験。
そこには、我々の常識は通用しない。
時間とか概念とか、そういう漠然としたものは存在しないかもしれない。存在すると、我々が勝手に思い込んでるだけだ。
事実、ポッドはただ垂直に落下しただけだったが、エリーが付けてたカメラは謎の十数時間のノイズ映像が残されていた。
でも何より、本人が訴えている。
私の存在全てが、あれは幻ではなく、本当に体験した、と。
何を信じるか。
自分に嘘偽りが無い限り、誰も疑えない。