アオサギとツルのレビュー・感想・評価
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フランス映画の香りもするお洒落なムズキュンアニメーション
ユーリー・ノルシュテイン監督作四本目。
ごめんなさい、タイトルで舐めてました。
互いが気になるアオサギさん♀とツルさん♂。
互いに告っちゃ振られ、告られちゃ振り、の繰り返し。
まさに、『思い、思われ、ふり、ふられ』。
しかも、行っては戻る恋がまだ続きながら終わるという仕掛け。
これ普通の映画なら、「まあまあ良いよね」で終わっちゃうと思うんですが、10分でここまで作り込み、まとめてるってところが素晴らしい。
今観てきた中では1番芸術性が高く、内容もお気に入りの一作。
花火のシーンなんかは神がかっていた。
ユーリー・ノルシュテインは天才だ。
鳥専用帽子もなかなか可愛い。
はじめてみるもの、ふれるもの、それは素敵なたからもの。
2020年5月6日
映画 #アオサギとツル (1974年)鑑賞
ロシアを代表する世界的アニメーション作家ユーリー・ノルシュテイン監督の作品。セルロイドに緻密に描き込まれた切り絵をベースにした短編アニメ。
青鷺と鶴の恋愛のお話。
1コマ1コマの動きを味わう!
ノルシュテイン監督の4作目になるが、10分の小品であるものの精緻さや典雅さにおいて前3作を大きく引き離す作品である。
お話はツルの青年とアオサギのお嬢さんの行きつ戻りつの恋物語である。
2人ともに「好きだ」と相手に言われてはその気持ちを拒絶し、しばらくすると後悔して相手のところにのこのこと出かけて行って想いを伝える。
これがただ往復されるだけなのだが、相手が去った後に遠くを眺めたり、雨の日があったり、時には良い雰囲気になったり、花火が上がったり、絶えず変化を付けているので飽きることがない。
10分もあっと言う間に経ってしまう。
ツルの気持ちをにべもなく突っぱねたアオサギが自身の住まう廃墟から彼方を見やるシーンが筆者の中では一番初めに唸らされたポイントであった。
雨のシーンでは雨を線で表現しているが、日本文化を深く愛するノルシュテインは北斎の浮世絵からの引用したことを表明している。
映画全体がぼんやりした明るさになっているのも浮世絵や水墨画からヒントを得たらしい。
夜のシーンにおける葉を表す黒い切り抜きも前3作を踏襲しているようで目を楽しませてくれる。
風に揺れる蔓草の動きなど細かいところまで配慮が行き届いている。
切り絵であるツルとアオサギは、羽や足など各パーツを動かすのを基本にしているとは思うが、角度を変える場合は新たに新しいパーツを書いて差し替え、1コマ1コマ動かしていくなど、その完璧主義にも近いこだわりぶりには脱帽してしまう。
確かにプログラムするのは大変とはいえ一度作り上げてしまえば応用の効くCGとは全く違う。
失敗してやり直すにしても相当な労力がいることだろう。
本作はノルシュテインによると「自分がしたいと思ったことをすべて表現できた最初の映画」らしい。
また本作の美術監督は奥さんのフランチェスカだ。
本作で描かれるアオサギとツルのやり取りも案外ノルシュテイン夫妻の日常を投影しているのかもしれない。
愉快な落語を観てる気分になった。
観はじめてすぐに
なんだか
愉快な落語を観ているような気分になって
不思議だなぁと思って
後から調べてみたら
やっぱり 日本の水墨画のイメージも
取り込まれていたのですね。
シンプルで分かりやすいストーリー。
落語のようなテンポの良さ。
面白かったし、
世界観も やはり素敵。
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