別れて生きるときも
劇場公開日:1961年4月4日
解説
田宮虎彦の『別れて生きる時も-愛情について-』を、松山善三・井手俊郎・堀川弘通の三人で脚色し、「青い野獣」の堀川弘通が監督した女性映画。「南の風と波」の中井朝一が撮影した。パースペクタ立体音響。
1961年製作/100分/日本
原題または英題:Eternity of Love
配給:東宝
劇場公開日:1961年4月4日
ストーリー
美智の父は前科を重ねた詐欺常習の鉱山師で、堀り出しもしない金を餌に、他人をだましていた。美智が十七歳の時、父は刑務所に服役した。母は美智を連れ、京都の従妹の家を訪れた。仕立物の看板をさげて細々と暮すことにした。美智が女学校を卒業する日、母は刑務所を出た父に連れられて美智の許を去った。美智は一人ぽっちになった。美智の隣の部屋には、苦学生の石山がいた。二人は愛し合うようになった。祇園祭りの夜、美智は石山の腕に抱かれた。しかし、石山は美智の女学校の教師小野木から美智の父のことを聞き、彼女の許を去った。美智の前に小野木が現われた。小野木は美智の体を求めただけだった。小野木の許を逃げ出し、東京へ出た。昭和六年、美智が二十一歳の時である。満州事変が起った。仕事を探してさまよい歩いていた美智は、失心した。朴泰泳という朝鮮人に救われた。彼が支配人をしている広告取次店で働くことになった。そこへ小野木が現われたが、朴が救ってくれた。五年たった。美智は朴が紹介してくれた東京マネキンクラブで働いていた。仕事の上で、大和自転車に勤める謙吾と知り合った。二・二六事件の日、謙吾は美智に結婚を申しこんだ。美智は決心がつかなかった。二カ月たった。謙吾は思想関係で警察からチェックされている自分を思い、結婚の取消しを願った。美智は父のことを語り、謙吾に結婚してくれるよう言った。子供が生れた。麻子と名づけた。戦争が激しくなった。謙吾は日本社会思想系列という国禁の書を書きつづけていた。謙吾は警察につかまり、南方へ召集された。彼は沖縄へ向う途中戦死した。戦争は終った。美智は虚脱した日々を送った。しかし、美智の心の中に謙吾はしっかり生きていた。その思いは、麻子の中に謙吾のかげを見出す時、切ないほどはげしく彼女の心をゆすぶるのだった。
スタッフ・キャスト
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井波謙吾高島忠夫
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井波美智司葉子
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井波麻子板屋幸江
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美智の少女時代一木双葉
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石山順吉児玉清
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朴泰泳小林桂樹
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小野木淳芥川比呂志
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美智の父河津清三郎
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美智の母田中絹代
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桶屋の主人沢村いき雄
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桶屋のおかみさん賀原夏子
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豆腐屋の親父田武謙三
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豆腐屋のおかみさん菅井きん
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青年将校小池朝雄
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野村ひさ枝細川ちか子
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チョビ髯(特高刑事)松村達雄
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警察の主任加藤武
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マネキンガールよっちん宮田芳子
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マネキンガールベアちやん市原悦子
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マネキンガールA藤戸木綿子
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キャメラマン石田茂樹
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広告社の主任佐田豊
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木賃宿の男田中邦衛
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木賃宿の女水の也清美
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別の男荒木保夫
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南北社の男A関田裕
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南北社の男B鈴木和夫
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南北社の男C細川隆一
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南北社の女峯丘ひろみ
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事務所の男南道郎
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弁護士松本染升
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鳥打幅の男西村晃
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下士官古田俊彦
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地下鉄の駅員加藤茂雄
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ヤミ市の髯の男鈴木治夫