四万人の目撃者

劇場公開日:

解説

週刊読売に連載された有馬頼義の同名小説を映画化した推理映画。「晴れ姿勢揃い 剣侠五人男」の共同執筆者・高岩肇が脚色し、「正々堂々」のコンビ堀内真直が監督し、小原治夫が撮影した。

1960年製作/92分/日本
原題または英題:Living Japanese Islands
配給:松竹
劇場公開日:1960年2月12日

ストーリー

セネタースの四番打者・新海が三塁にすべりこんだ瞬間、死んだ。四万人の目撃者の一人、高山検事は、同じ目撃者の親友・笛木刑事と調べ始めた。死因は狭心症とされたのだが。家族は妻君の菊江と息子、それに菊江の妹の阿い子の三人で、経営する喫茶店はマネジャーの嵐、会計の田沼のほかに給仕が五人いる。高山が死体の解剖を申しこんだ時、阿い子が反対した。彼女の恋人、矢後捕手は新海の代りにレギュラーになった。四番として猛打した。が、“新海殺し!”という弥次でスランプになり、ひっこめられた。原島監察医の解剖の結果新海は、自然死とも、農薬による毒殺とも考えられた。菊江の話では、彼はビタミン剤を常用していた。部屋には矢後、嵐、田沼が出入り出来た。矢後が新海の最後に使ったバットを持ち去ったことも知れた。彼はどこかに姿を消した。例の喫茶店のレジー香代の話では、伊東にいる彼女の夫・卓造が新海を時々おどしていた。笛木は別の連続殺人容疑者・倉島を捕えた。が、証拠がない。彼が使った拳銃は喫茶店の女給・公子が拾っていたのだ。高山は笛木を誘い、伊東へ行った。同じ宿に矢後と阿い子が来ていた。彼の結婚要請に彼女は応じなかった。高山たちに二人は、ただ他殺ではないというばかりだった。阿い子にはもう一人、男がいるらしい。矢後の疑いは晴れ、笛木は手を引いた。高山は地検の木原検事正に打ち切りを説かれた。正月休みに、笛木が農薬関係の資料を調べ、高山は彼と伊東へ向った。卓造は死んだ魚から肥料を作っていて、頭がおかしかった。田沼から預っていた箱を押収すると、拳銃が十数挺入っていた。東京で再び倉島を洗うと、田沼や嵐と関係がある。ビタミン剤のことが割れそうになって、倉島は殺され、田沼も殺された。木箱を運んだ運転手も同様だ。皆、ビタミン剤に農薬Pを入れられて死んだのだ。--犯人は田沼・倉島・公子を操って連続強盗事件を起し、現場を見た新海を殺したのだ。残る嵐は、郷里の桐生に帰った。彼が軍隊時代、新海の部下だったことを知った。阿い子が失踪した。行方を追って高山は桐生に飛んだ。犯人は嵐だった。--無事だった阿い子は矢後と結婚するだろう。

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