広重
劇場公開日:1956年4月4日
解説
広重の版画「東海道五十三次」を紹介しながら今日の東海道と比較鑑賞するイーストマン色彩の美術映画、一般向。
1955年製作/20分/日本
劇場公開日:1956年4月4日
ストーリー
広重の肖像画ではじまり雪中山水図、猿若町の夜景など一連の作品によって、その生立ちや画歴を語る。約百五十年前、火消同心の子として江戸にうまれ、狩野派や四条派の諸派をまなび、西洋画の遠近法も研究した。彼は庶民階級の心をくみ、そこに絵の生命の長さがあり、北斎とならぶ風景画家であると。ついで版画すりの実演をみせ、次々と順序ずりが重ねられて完成するのは珍しい。 かくて五十三次の地図を移動してから一八三三年の保永堂版による出世作「五十三次」の道中風景が展開される。お江戸日本橋、箱根の湖水、三島の明神、沼津のたそがれ、原の朝富士等から桑名の渡し口、石薬師寺の図、庄野の白雨、京都の三条大橋、清水寺にいたるまでの絵画と実景を交互に紹介する。そして広重が単に実景を模写したものではなく、絵画的効果のため実景を構成したことをも説く。カメラは広重のながめた位置をもとめて苦心して、いわゆる今昔の感をただよわす。 最後は晩年の名所組物についで亀戸の梅や両国の宵月と、その作風を模したというゴッホやホイッスラーの絵画をくらべて欧米への影響をうたい、風景画における世界的記録であると阿波鳴門の図等の代表作品でむすぶ。北欧映画社作の白黒篇「広重」より熱はないが色彩感がものをいう。また現代実景の中にスクーターを走らせるが実はその宣伝である委託作品を高めようとした努力が買える。