電柱小僧の冒険(ビデオリミックス版)のレビュー・感想・評価
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主に悪い意味で実験作の域を出ない
『鉄男』同様、迸る原始的パンク魂みたいなものは確かに感じるんだけど、海外によくあるうるさくて激しいだけのジャンプスケア系トラウマ恐怖動画を見ているようで興が醒めた。なんか中学とかの帰り道で友達が電柱の陰からワッ!と出てくるんだけどいまいちウケなくて、にもかかわらず本人は面白いと思ってその後も同じ手口で何度も驚かそうとしてくる、みたいな。わかりきったことを何度もやられることももちろん嫌だが、驚かす側が驚かされる我々の歩調を無視しながら自分一人でどこまでも加速していくというのが一番嫌。あ、別にこの人は私たちのためにそれをやってるわけではないんだな、と思うとこちらも興味が失せてしまう。これはオレ様が気持ちよくなれるものだけを作りやがれ!ということではなく、外部からの眼差しの存在をまったく考慮しないのであればそれもうメモとか日記でいいじゃん、ということである。というわけで主に悪い意味で「実験作」の域を出ない映画だった。
ナゴム臭ぅ
パンク/ニューウェイヴの雰囲気とオドロオドロしい感じはもちろん田口トモロヲが率いた"ばちかぶり"の曲が流れる相乗効果、初期クローネンバーグを彷彿とさせる特殊効果のショボさから来るグロさ加減と痛々しい暴力描写がシッチャカメッチャカに狂っている塚本晋也。
奇形児的な主人公の背中には電信柱、タイムスリップからのヴァンパイア物、土方・近藤・沖田ってなシンセングミとサカモトリョウマって無理くりな設定。
ナゴムレコードやADKをザックリ映像化したらこんな感じ、みたいな塚本晋也のPUNK魂が炸裂!?
塚本Q
塚本晋也監督1987年の作品。
ぴあフィルムフェスティバルPFFアワードでグランプリを受賞し、この成功により『鉄男』へと繋がった。
作品は“海獣シアター”の仲間と共に作った8ミリ作品。もしこれが大手メジャーの作品だったら企画すら通らなかったであろうシュールな異色作。
“電柱小僧”という珍妙なタイトル。某バラエティー『博士ちゃん』で紹介されるような電柱大好き子供に非ず。
背中から電柱が生えてる少年!
この時点で「?」。
そんな電柱小僧が未来へタイムスリップ。人類を脅かす吸血鬼集団と戦う…!
さらに「??」。
まあ、作品の設定や話には追究しない事。理解しようとしたって分からない。
見るべきは、鮮烈な塚本ワールド。
弱虫電柱小僧、彼を鼓舞する女性、ミュージシャンみたいな出で立ちの吸血鬼集団、異様な雲に覆われたご近所的な終末世界。
それらをユニークな映像表現で演出。何だか大林宣彦監督のデビュー作『HOUSE/ハウス』を彷彿。
弱虫クンの奮闘劇でもある。
幼少の頃、『ウルトラQ』に衝撃を受けたという塚本監督。
この異色の世界観はさながら、塚本監督の『ウルトラQ』。
よかった
大変な執念で製作されたコマ撮り特撮がすごい。裸足でアスファルトの上を滑っていくのは足の裏の皮がベロベロになりそうで心配になる。
80年代ニューウェーブの顔をいかめしく怖い表情にするのが今ではとても懐かしい。
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