「迷路要る??」映画ドラえもん のび太とブリキの迷宮 因果さんの映画レビュー(感想・評価)
迷路要る??
やりたいことが散逸している印象が強い一作だった。ドラえもん不在の中、のび太たちだけで冒険を進めていくといういくらでも面白く脚色できそうなプロットにもかかわらず印象が薄い。
ブリキ仕掛けのブリキンホテルの雰囲気は見事なもので、底抜けの爽やかな青空と周囲の無人ぶりが不穏な先行きをありありと予感させる。
中盤でのび太たちが迷い込む攻略不可能の地下迷路・ラビリンスも仰々しく登場する割に結局どういう意味があったのかわからない。ロボット軍の侵攻からガリオン侯爵が自身の研究を保護したかったというのはわかるが、だからといってこんな難しい迷路を用意する必要があるのか…結局破壊されるし…
スペアポケットを逆流することで行方不明になっていたドラえもんを発見するという逆転の発想には膝を打ったものの、じゃあ最初からやれよ…と言いたくもなってしまう。しかしまあミニドラが可愛かったからいいか。
ロボット兵に扮しながら孤軍奮闘を繰り広げるジャイアンとスネ夫が本作のMVPではないだろうか。
作品全体のメッセージとしては「機械に頼りすぎるな」ということなんだろうけど、ロボット軍の侵攻というモチーフは『鉄人兵団』がきわめて高いレベルで実現してしまったし、ドラえもんの故障=不在というトピックも前作『雲の王国』で散々見ているので満足感は少ない。
というか『雲の王国』において天上世界で半分故障したドラえもんを介護するかのように雲の王国まで導こうとするのび太の慈愛を目の当たりにして、今更「機械(=ドラえもん)に頼りすぎてはいけない」などと宣言されたところでインパクトがない。
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