劇場公開日 1976年

「完璧!超傑作!そして隠されたメッセージ」海外特派員 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0完璧!超傑作!そして隠されたメッセージ

2018年12月14日
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名作中の名作
ヒッチコックは本当に偉大です
ほんの1分たりと観客の興味を逸らさせないプロの技を堪能できます

物語は1939年夏、第二次世界大戦が始まる直前から始まります
米国人記者が戦争前夜のスパイ合戦に巻き込まれてというお話
もちろんラブロマンスを絡めます
最高の娯楽サスペンス
クライマックスの旅客機の遭難シーンは現代でもなかなかお目にかからない程の迫力

そう確かに徹頭徹尾娯楽大作です
しかしバルカン超特急で密かに政治的メッセージを忍ばせたように、本作でもヒッチコックはシリアスなテーマを潜ませています

それはマスコミの使命とは何かです
主人公は自分の使命をこう言います
アメリカの読者の目となり耳となって真実を伝えることだ

21世紀の我々にとっては切実なテーマです
なにしろ現代のマスコミは本作での悪役のように
平和を口にしながら自国と国民を欺向こうとしているのを目撃しているからです
フェイクニュースを日常的に使い、何が真実か見えなくしている世界に我々は今住んでいるからです

初めはナンパに精をだす適当な仕事ぶりの記者が、いつしか自国とその国民への責任に目覚め、記者の本分を果たす一流記者に変貌している
本作はその成長物語でありました

自分勝手な思想信条で自国と国民を裏切るような記者は、本作に登場するスパイそのものでしょう

マスコミが健全だからこそファシズムに勝利出来るのだとのヒッチコックのメッセージは現代でこそ重要性を増しています
本作はその意味でも永遠に生命を持つ作品といえるでしょう

あき240