海外特派員

劇場公開日:1976年

解説・あらすじ

ドイツの台頭で戦争の危機が迫っていた1939年、ニューヨークの新聞記者ジョニーは欧州へ派遣される。戦争回避のキーマンである大物政治家を追いやってきたアムステルダムで、暗殺現場に遭遇。犯人を追跡し、意外な事実を突き止めたことから彼自身も命を狙われるようになる。美術は「風と共に去りぬ」で知られるウィリアム・キャメロン・メンジーズ。150万ドルの製作費を投じ、大掛かりなセットのもと撮影された。飛行機の撃墜シーンなど撮影技術も見事である。

1940年製作/120分/アメリカ
原題または英題:Foreign Correspondent
劇場公開日:1976年

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第13回 アカデミー賞(1941年)

ノミネート

作品賞  
助演男優賞 アルバート・バッサーマン
脚本賞 チャールズ・ベネット ジョーン・ハリソン
撮影賞(白黒) ルドルフ・マテ
美術賞(白黒)  
特殊効果賞  
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Foreign Correspondent : (C) 1940 STUDIOCANAL

映画レビュー

4.0 またしても美人がいい!

2025年11月10日
PCから投稿

ヒッチコックには、いくつか政府の依頼で作ったとしか思えないようなプロパガンダ映画がある。これも、あらすじを少し読んだだけでいかにもその類に見えた。だから私は長い間、この映画を避けてきた。今回ようやく観たのは、日本でもアメリカでもレビュー評価が非常に高かったからだ。

観終えてみると――単なるプロパガンダ映画ではなかった。
ヒッチコックらしさが随所に光っていて、映像的にも物語的にも惹きつけられた。特に風車のシーンが印象的だ。飛行機の使い方は違うが、のちの『北北西に進路を取れ』を思わせる迫力があった。あの風車、どうやって撮影したんだろう?現実離れした異様な雰囲気が漂い、まるで別世界に迷い込んだような不穏さがあった。内部の立体的な構図の妙も素晴らしく、映像の奥行きとサスペンスの融合が見事だった。

そこに至るまでの展開は正直、何を狙った映画なのかつかみづらく入り込めなかった。だが風車の場面で一気に惹き込まれた。その後の悪役による襲撃シーンはややもたつきがあり、犬の登場には首をかしげた。逃走劇の映像自体はスリリングで、ビルを俯瞰で捉えたカットなどヒッチコックらしい奇妙な魅力があった。HOT HOTELという文字が妙に不気味で印象に残る。
さらに終盤、ちょっとした叙述トリックを使って犯人を追い詰めるくだりも秀逸で、ヒッチコックのアイデアの冴えが感じられた。

全体としては少しドタバタしており、私は日本人なので登場人物の名前や顔を覚えづらく、話の整理に少し苦労した。ラストのアクションは「まだ続くのか」と思うほどくどく感じたが、演出の力で最後まで引っ張られた印象だ。
脚本自体は決して洗練されてはいないが、ヒッチコックの演出力で独特の魅力を放つ作品になっている。結局のところ、これは確かにプロパガンダ映画ではある。だが同時に、ヒッチコックらしい映像の妙味に満ちた、極めて個性的な一本でもあった。

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KIDOLOHKEN

4.0 緊迫した時代を背景に、粋を極めたサスペンス演出を披露したヒッチコック監督の傑作

2025年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、映画館

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Gustav

4.0 これは第一級のクライム・サスペンスだ。

2024年10月9日
PCから投稿

第二次大戦直前の1939年。新聞記者ジョーンズは、渡欧の上で、オランダの外交官ヴァン・メアへの取材を命じられる。彼は現地で、万国平和党党首フィッシャーと、その娘キャロルに出会う。

ヴァン・メアは、銃殺される。ジョーンズは、キャロルの友人で記者のフォリオットに出会い、真相を探し求める。ジョーンズとキャロルは恋に落ちるのだが、、、。

政治的なメッセージを含んでるが、全く気にしなくても、そういったことが分からない方でも、すんなりと最後まで、娯楽映画として楽しめる。行き違いも巧みだし、ロマンスを絡めた、第一級のサスペンスだ。

国際的な謀略を究明する記者を描いた、クライム・サスペンス。全編を通じて、カラッとした明るさがある。緊張感があり、胸躍るエピソードの連続で、コミックリリーフも交え、テンポの速さも心地よく、非常に軽快なサスペンスだ。

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岡崎仁

5.0 アメリカ時代の最初の大傑作

2024年3月8日
PCから投稿

英国時代の最後の傑作「バルカン超特急」から渡米第一作「レベッカ」は大物プロヂューサーの制限でヒッチらしさは希薄でしたが、この作品は好き放題に作った結果さすがのヒッチ節全開、且つイギリス時代にはなかったいかにもアメリカ的なドライな仕上がりです。
傘の波、風車小屋のスリラー、海上の漂流など極めつけのシーンも満載です

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越後屋