茶の間の時計 愛情の波紋
劇場公開日:1956年7月6日
解説
原作は北条誠の新派上演戯曲“茶の間の時計”で、ラジオ東京連続放送劇にもなっている。長女の結婚をめぐる父や弟妹の家族愛の物語。原作から「ここに幸あり」(二部作)の中村定郎が脚色し、「十九の春」の尾崎甫が監督、小杉正男が撮影を担当した。主な出演者は「ここに幸あり」(二部作)の三津田健、片山明彦、「十九の春」の清川新吾、「駄々っ子社長」の藤乃高子、「次男坊故郷へ行く」の中川姿子など。
1956年製作/55分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1956年7月6日
ストーリー
山の辺家の長女千鶴子は父健介が停年で退職したあと、洋裁教室の看板をかけて、女手一つで父や弟良一、妹加奈子を養っている。千鶴子には奥沢新太郎との結婚話があるが、幼い時に母を亡くした彼女は今では一家の柱ともなっているので、健介が職をみつける迄は結婚できない状態にあった。健介は知人を頼って仕事を探し、昔の部下西住次郎の世話でデパートの宣伝部で働くことになった。健介の妹篠崎みよは千鶴子の嫁いだあと一家の主婦が必要と、健介に再婚をすすめたが健介の心には十五年前、病妻や子供の面倒をみてくれたことから愛し合うようになり、その後、子供の将来のために別れた看護婦滝井ゆきの面影が今もなお残っていた。一方ゆきも今もって健介を愛していたが、美容院を開いているのを利用して健介の仕事を探し、西住に紹介したのだった。そんなとき千鶴子の縁談は健介に二号がいるという噂で破談となり、健介は一人悩んだ。千鶴子も新太郎に真相を聞いて驚き、健介を難詰したが彼が今もゆきを真剣に愛していることを知り、二人の幸福のためには、自分さえ新太郎をあきらめればと決心した。ゆきは自責の念に駆られ、新太郎の母史子を訪れて涙と共に健介との関係が潔白であることを説いた。ゆきの誠意に感動した史子は千鶴子と新太郎の結婚実現を約束した。結婚式の当日、千鶴子はゆきを父健介に対面させ、自分に代わってゆきが一家の主婦となるよう願った。この家の古ぼけた柱時計のゼンマイを巻くゆき。その姿を見詰める一同の顔は、新しい希望に輝やいていた。