恋文裁判
劇場公開日:1951年6月22日
解説
「海を渡る千万長者」の石田清吉の製作で、小糸のぶの原作から、「若い娘たち(1951)」「その人の名は言えない」の井手俊郎が脚色し、「わが家は楽し」の中村登が監督に当たり、撮影は「愛情の旋風」の竹野治夫が担当している。配役の主なものは、「その人の名は言えない」の角梨枝子が松竹入社第一回作品として出演し、「泣きぬれた人形」の岡田英次と桂木洋子、文学座の加藤治子、ほかに二本柳寛、岸恵子、水の江滝子、藤原釜足、村瀬幸子、小林トシ子などの助演陣に、O・S・Kから秋月惠美子、小町瑠美子などの賛助出演がある。
1951年製作/90分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1951年6月22日
ストーリー
ある新制学校でのお話。年若い美貌の女の先生香川洋子から、磊落な絵の先生児玉猛宛のラブレターが学校の廊下に落ちていたことが、問題の発端である。勿論香川先生がその恋文を書いた主でないことは明白となったが、このことは思春期の女学生たちの心情を探って見る必要を香川先生に感じさせた。そして、「一番好きな人に出す手紙」という題で作文を書かせて見ると、年若い叔父が対象であったり、少女歌劇の男装の麗人に熱をあげていたり、妻ある男への熱愛に悩むものがあったりして、少なからず洋子をおどろかせるものがあった。洋子はいつもの喧嘩相手の児玉先生に相談して、その実態調査にのり出すことになる。しかし、若い叔父は幼馴染みの無邪気な相手であったし、男装の麗人もやはりただの女にすぎないことを知って夢醒める乙女もあり妻のある男性とは、海浜のホテルで見かけた仲の良いご夫婦への羨望であったりして、洋子を安心させた。最後に白紙の答案を出した女学生は、児玉先生を本当に恋していて、その苦しさの余り香川先生の名を借りて恋文を書いて廊下へ落とした戸川綾子であったが、彼女の真意は、香川先生こそ児玉先生にふさわしい女性であると信じたためのことであったことも判明して、今更ながら思春期の乙女の指導のむずかしさを洋子に痛感させるのだった。