エノケンの天一坊

劇場公開日:

解説

「エノケンのエノケンの八百八狸大暴れ」に次ぐエノケンプロの作品。製作は前回と同じく滝村和男に野坂和馬が協力し、脚本は、「とんぼ返り道中」の八住利雄に戸田伊太郎が共同している。監督は、やはり「エノケンの八百八狸大暴れ」の渡辺邦男である。出演者はエノケン劇団のメンバーに、並木路子、「とんぼ返り道中」の市川小太夫、「東京の門」の越路吹雪。

1950年製作/日本
配給:東宝
劇場公開日:1950年12月30日

ストーリー

貧乏寺妙楽寺の坊主法竹は、長屋の家主与兵衛の娘お種と恋仲であったが、親爺の与兵衛は、大切な娘を貧乏寺の坊主の嫁にやることはならぬと、店子の易者悟重軒や植木職人八五郎、甘酒売りの辰、居合い抜きの長七、講釈師愚山などを動員して二人の恋の邪魔をさせていた。ところが、ある日山内伊賀亮という武士が現れ、法竹が将軍の落胤にちがいないといい出し、証拠の品々を差し出したので、長屋中は大さわぎになった。やがて、将軍家へその旨上申したので、その真偽を確かめるため、将軍直々法竹に目通りを許されることになった。妙楽和尚は勿論のこと、家主の与兵衛も手のひらをかえすように大ほくほくであった。しかしお種だけは法竹の出世を喜ばなかった。お目通りの結果、法竹と将軍とは生き写し、将軍家の世継ぎとして確認された。しかし大岡越前守だけは、伊賀亮の策謀をくさいとにらんで歌女という女密偵を使ってさぐらせた結果、法竹の落胤説は真っ赤な嘘であることがわかった。法竹も、江戸城での生活が自由でないのに愛想をつかしていた矢先なので、真実を白状した。歌女は法竹の人間の正直さに、彼の助命を懇願して、無事に長屋に帰してやることになった。将軍は法竹に生き写しなのを利用して、下情視察のため法竹の身代わりになり長屋に帰り、そこに住む人々が、貧しいながらも和気あいあいと暮らしていることを知り、法竹が将軍家の世継ぎとなるよりも貧乏寺の納所坊主をえらんだことの理由を理解し、法竹とお種との幸福を願ってやるのだった。

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