消防決死隊
劇場公開日:1951年2月10日
解説
「姉妹星」の須田鐘太の製作で、「緋牡丹盗賊」の八尋不二が脚本を書き、「火の鳥(1950)」の田中重雄が演出に当たっている。撮影は「処女峰」の峰重義である。出演俳優は、「偽れる盛装」の小林桂樹、「処女峰」の根上淳、「情艶一代女」の伊沢一郎、「紅蝙蝠(1950)」の三條美紀、それに小堀誠、羽鳥敏子、荒川さつきなどである。
1951年製作/88分/日本
配給:大映
劇場公開日:1951年2月10日
ストーリー
消防教習所に学ぶ教習生のなかで、境遇、性格のそれぞれ異なる三人の青年がいた。森三平は父親が古くからの鳶職で、無理に志願させられたもの、牧村泰彦は、斜陽華族の成れの果てで、生来の無気力から流れついたもの、南連太郎だけは、復員兵だったが、自分の生命は戦争で失ってしまったものとして、残る一生を社会福祉のために捧げたいとの熱意にもえていて、教習所の猛訓練にも、一人音をあげずに精進していた。休日には、しかし泰彦などと共に、森家へ遊びに行くのを楽しみにしていた。森家の家庭的な空気と、美しい妹節子が彼と泰彦の心をひきつけたのだった。やがて六ヶ月の教習を終わって、三名は同じ消防署に配属された。ある日、有名な貴金属商の火事に出動したが、その焼け跡から死体が発見され、その死体から一個の弾丸が現れた。連太郎がそれを発見したのだったが、彼は弾丸の口径から、その陰に、放火強盗団のあることを推察した。連太郎は海軍時代の上官黒部に再会したが、協和商事社長と称する黒部と、例の放火強盗団との間に一脈のつながりを感じたが、廉正だったかつての上官にそんなことがと打ち消した。しかし泰彦は、連太郎と節子とがどうやら愛し合っていると知ったとき、自棄の気持ちから黒部の一味に近づき、黒部の情婦リリイに誘惑されてのっぴきならぬ弱味を黒部につかまれてしまった。泰彦はそんな自分を恥じて辞表を出した。折しも協和ビルから炎がのぼった。連太郎も三平も出動して活躍した。このとき協和ビル放火の裏に黒部の兇悪な手がのびている事実を知っている泰彦は敢然として単身黒部に挑戦して、焼死してしまった。再びめぐり来た春に、新年消防初めの日連太郎も三平も表彰された。そして今は亡き泰彦の功労章は、泰彦に代わって姉の弓子がこれを受けたのだった。