新妻会議
劇場公開日:1949年1月18日
解説
マキノ満男製作。脚本は「向う三軒両隣り」「歌うエノケン捕物帳」の八住利雄で「生きている画像」の千葉泰樹が監督する。出演は「虹を抱く処女」の若原雅夫「破戒(1948 木下恵介)」の池部良「夢よもういちど」の山根寿子「四人目の淑女」の浜田百合子「男が血を見た時(1949)」の伊沢一郎「四人目の淑女」の月丘夢路「青蛾」の徳大寺伸らである。カメラは「黒雲街道」の宮川一夫。音楽は「秘密(1948)」の仁木他喜雄。なお最後の歌シーンは試験的に着色される。
1949年製作/93分/日本
配給:東横
劇場公開日:1949年1月18日
ストーリー
心うずく青春への夢を画いて学窓を飛び出す日、圭子、桐枝、登志の三人は、そろって結婚生活に入った時には必ず新妻会議を開く事を誓い合って別れた。それから数年。深窓に育った圭子はピアノを教えてくれていた若い音楽家山井と互いに心を許し合う仲となり、親の反対をも押し切って結婚生活に飛び込んでしまった。生活能力のない、芸術家肌の山井がこうした汚濁の世の中を泳ぎきれる訳がなかった。とどのつまり圭子はダンサーに身を落とし、一方今は汐野という成金に嫁いだ友の登志に夫の職を頼む。この圭子に毎夜キャバレーでいい寄る何処かしら青っぽい、それでいて傲慢な男がいた。願いかなって夫の就職が決まったある日、夫婦そろっての日比谷の音楽会で圭子は、ばったり登志に会う。登志が「これが夫の汐野よ」といって紹介した男は、あの毎夜の男だった。そして夫の山井の会社の社長でもある男……。そのころ最後の人桐枝も伍東良一という許婚といよいよゴールインの日が近付いて喜々とした日を送っていた。だが運命の女神は、永遠に二人を結び付けなかった。不慮の災難で良一は不帰の人となった。嘆き悲しむ両親の前で「私良一さんの子を……。一生見守り通します」と言い切る桐枝だった。雄々しくも彼女は良一の弟で山の保養所で働く若い医師義夫を頼って行った。サラリーマンになった山井は机の前に座っているとピアノの鍵がきしむように恋しくなった。ピアノ……ピアノ、その願いは遂に会社の金を盗用した。それを知った汐野は金をタテに一層圭子にいい寄った。圭子のひとみにピアノの前で忘我の境のまま鍵をたたく夫の姿が写る。「ええいいわ、貴方のままよ」その夜は桐枝が義夫と結ばれ、あの三人の誓いの新妻会議が開かれる夜なのであった。ピストルを懐にした圭子が登志の家にたどりついた時、汐野は一連の疑惑事件が発覚して警察に引かれて行くのだった。「あのピアノは貴方のために山井君に進呈しまう」静かな語調を残して汐野はわが家を後にした。教会の燦然と輝く聖母像の前に額づく山井と圭子の姿。「わたし達、今やっと本当の幸福がつかめたのよ、今度の新妻会議には、あんたの曲を三人の妻のために、弾いて頂戴……」二人はいつしか諸手を握り合っていた。