遊侠の群れ
劇場公開日:1948年12月28日
解説
「破戒(1948 木下恵介)」につぐ小倉浩一郎の製作。「鐘の鳴る丘 隆太の巻」「結婚狂時代」の斎藤良輔の脚本を「陽気な街」の大曾根辰夫が監督する。カメラは「小判鮫・前篇」「小判鮫・後篇」の伊藤武夫と服部幹夫の共同。音楽は「破戒((1948 木下恵介))」の木下忠司。主役には「大阪夏の陣」を最後に下加茂を離れ十年振りの松竹映画出演の長谷川一夫、「大島情話」の坂東好太郎「仮面の街」以来の高田浩吉で、これに「四人目の淑女」の木暮実千代の時代劇初出演、長谷川裕見子の「小判鮫・前篇」「小判鮫・後篇」につぐ第二回出演等がある。これに「緑なき島」の山村聡(東宝)、「女優(1947)」の三島雅夫(新協)、新人鶴田浩二、村田正雄(新演技座)が助演し、岸井明、森川信と津村謙、照菊(キングレコード)の特別出演がある。
1948年製作/71分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1948年12月28日
ストーリー
天保の頃、下総の国にしのぎを削る二つの勢力、飯岡村の助五郎と笹川村の繁蔵があった。一夜繁蔵は何者とも知れぬ相手に殺されたが、土地の役人は他殺と江戸奉行に報告した。江戸奉行筒井伊賀守はその死因を怪しみ、人知れず、腹臣遠山金四郎をこれに差し向ける。金四郎は名も金蔵と改め笛吹きを装って、街道で知り合った助五郎一家の三下ひょっとこ半次の世話で、見事身内に入る。金蔵の宿の娘お栄は「やくざなんて人間のくずよ」といって金蔵をさげすむが、あれこれ身の回りを見てやる所を見るとまんざら憎くは思っていないらしい。こうして金蔵の詮索の目は続けられて行くが、果たして繁蔵暗殺の下手人は、助五郎の身内で今は高飛びしているが、与吉である事がわかる。しかもその差し金は、すべて助五郎であることも。助五郎は代官桑山盛助を買収して、今では関八州並ぶものない勢い。そんな時与吉がほとぼりのさめたのをいい幸いに帰って来るが、許嫁で街道筋の茶店の娘お千代が桑山の目にとまって、助五郎を通してあれこれいい寄られている事を知った。「与吉おれの顔を立てて頼む」いわれれば後にひけないのがこの世界の慣い「ええあきらめましょう」心にもない返事をして見れば、あとはどうともならなかった。やけっぱちで酒をあおる与吉に助五郎は「江戸からまわし者が来ている」という噂を耳にして金蔵を怪しんでいた折柄、刺客を命ずる。暗闇の利根川堤に、すべてをざんげする与吉の姿が見られた。与吉は白状した。桑山の罪状も、そして助五郎の暗躍も。こうして町に再び平和の日が訪れた。お栄や半次は日頃馬鹿にしていた金蔵の身分を知って驚く。「半次、お前こんな世界から足を洗って親元に帰りなあ」やさしく諭す金四郎だった。金四郎が江戸へ旅立った日、街道を追うお栄の姿が見られた。