戦慄
劇場公開日:1950年2月26日
解説
製作は「続不良少女」「俺は用心棒」の牧野満男、企画は「無頼漢長兵衞」(坪井與と協同)の伊藤武郎と第一協団の浅田健三の協同で、「妻の部屋」(館岡謙之助、坂本忠士と協同)の棚田吾郎と、舟橋和郎の協同脚本により「第二の人生」以来の関川秀雄(短編では「名探偵ヒロシ君」「くちびるに歌をもて」などあり)が演出する。カメラは「妻の部屋」の三木滋人担当。主演は「無頼漢長兵衞」「にっぽんGメン 難船崎の血闘」の市川右太衛門(二役)、「遊侠の群れ」の高田浩吉、「石中先生行状記(1950)」の木匠久美子でそれに「東京カチンカ娘」の市川春代、「石中先生行状記(1950)」の進藤英太郎、「また逢う日まで」「暴力の街」の河野秋武らが出演する。
1950年製作/91分/日本
配給:東映
劇場公開日:1950年2月26日
ストーリー
次々と新聞紙上を賑わす五人組強盗。それはアスファルト伯爵、五郎蔵、シボレー政、ギタ吉、そしてサブの五人である。今日も運転手殺しを行った五人組は、悪魔の凱歌をあげた。分け前をもらった各々はそれぞれの遊びに散る。伯爵と称する頭目にはおせいという情婦がいて、早速二人は熱海へとぶ。サブは何かさびしい気持ちで、街に出る。そしてフト、不良女学生のナナ子と知り合う。ナナ子は材木会社の社長川村の娘だが母の愛情はなく、父は違い、ぐれている。ある日競輪場でサブは再びナナ子に会い、ナナ子を伯爵に紹介したが、伯爵はすぐナナ子に魔手をのばし、ナナ子はあっさりと伯爵に身をまかせ、いい気になって伯爵の情婦を気取る。サブは悲しかった。そのころ熱海に残ったおせいは新民党総裁樽澤をひっかけていた。ナナ子は伯爵のいう通り家から貴金属をもち出して伯爵に提供するが、そこへ帰って来たおせいに圧倒され、伯爵もおせいが帰って来るとナナ子をあっさり捨ててしまい、ナナ子は身をもんで悲しむが、全く相手にされない。サブはこのようなナナ子にやさしい気を配る。ナナ子はもう家へも帰れないのだ。伯爵は、樽澤総裁の洋行の送別会でおせいをたてにゆすり、仲間の政がナナ子に手を出したと、私刑を加えて殺しその悪らつな腕は、この仲間につながったサブやナナ子を身動き出来ない状態にし、次の仕事としてナナ子を家に帰し、夜中に家の戸をあけさせておいて伯爵一統が忍び込むことだった。ナナ子は脅迫され、サブは、悲しげに従わざるを得ぬ。ナナ子は帰されたが、今はサブを深く思う身となっていた。決心して、近所の大野刑事に連絡し、サブだけをこの強盗団に参加させまいと、サブの巣に戻って来るが、もう出かけた後だった。ナナ子は大野刑事にたしなめられて家へ帰り、時刻を待つ。十二時、すっかり警戒網のはりめぐされた川村の家へ伯爵たちが忍んでくるが、たちまち武装警官隊にとりまかれ、ナナ子は狂いの様にサブだけをひっぱって自家用車で逃げようとした。だが伯爵もこれに飛び乗り、これを警官隊が追い、ガスタンクの上で、サブと伯爵の決闘となり、サブはスパナで伯爵をやっつけ、追ってきた大野刑事の前に静かに手をさし出し、ナナ子は身もだえして泣きくづれるのだった。