妻の部屋
劇場公開日:1950年1月24日
解説
「無頼漢長兵衞」(伊藤武郎と協同)、「獄門島(1949)」の牧野満男の製作で、企画は「無頼漢長兵衞」の坪井与の担当である。「涙の港」の館岡謙之助、「こんな女に誰がした」(八木保太郎と協同)の棚田吾郎と新人坂本忠士の協同執筆。監督は「斬られの仙太」の瀧澤修があたっている。主演は「女の顔」の龍崎一郎、「今宵別れて」の浜田百合子、「暴力の街」の伊豆肇「恋愛三羽烏」の月丘夢路らの他に「青い山脈(1949)」の藤原釜足、「晩春」の杉村春子、「甲賀屋敷」の杉山昌三九らがそれぞれ助演する。
1950年製作/92分/日本
配給:東映
劇場公開日:1950年1月24日
ストーリー
今井達吉は日鴎印刷社の作業部長となって、長谷川社長が昔買った家に住んでいた。そこへ支社から本社の資材課長に転勤した秀才といわれる牧三千雄が妻の百合子の家を売って、取りあえず今井の所へ同居するとこになった。百合子には実父の仙石克廣がいたが、父は京都で老後を過ごすというので、家を売った六五万円をそっくり昔の親友の長谷川社長に百合子を通じて融通してやった。ところが牧三千雄は、若気にはやって自分の才能を信じ、仲々の野心家であった。そのためにか、今井の家に同居してものんびりとした達吉とは気質はしっくりしなかったが、加津子と百合子はカマラードと称して仲良くやっていた。しかし百合子は夫が今井や加津子を軽蔑し、相手にしないのをはらはらしていた。その上三千雄が絶えず何かを求めてあくせくしている姿を見て信じかねるであった。その頃三千雄はふとした事でブローカーの有本英作と知り合った。彼は父が社長に印刷機を買ってくれと渡した金で資材課長である名目で30万円で購入し、後の三五万をふところに、有本に融資してやった。今井の口からこれを知った百合子は益々三千雄を信頼する情がうすれ、別れようとすら思っていた。この様子を見ててきぱき屋の加津子は、百合子の気性を買って三千雄に注意を与えると、逆に加津子の母伊代が古龍洞(骨董屋)の妾になっていると聞いて憤慨したが、実は正式に結婚すると分かって安心した。一方三千雄は有本に貸した金が、彼の姿とともに行方が分からず、ペテンにかけられたと知った時はもう遅かった。それに会社では三千雄の評判が良くないので、社長と今井は公になってはと心配していた。その寸前三千雄は有本に会って暴力に会い、ひるんだがすでに有本には警察の手が廻っていた。この責任は妻にもあるといって、百合子は改めて夫の三千雄を暖かく迎えてやるのであった。