初夜ふたたび
劇場公開日:1949年1月18日
解説
製作は「われ泣きぬれて」「緑なき島」の石田清吉雑誌“婦女界”けいさいの小糸のぶの原作「結婚解消旅行」を「Zの戦慄」の柳川真一が脚色し、「初夜ふたたび」と改題されたもので演出、撮影は「のらくら海浜騒動」の高木孝一、竹野治夫がそれぞれ当たる。出演者は「緑なき島」の佐野周二「男を裁く女」以来病気静養中であった折原啓子「銀座新地図」の高橋貞二「恋愛特急」の津島恵子「陽気な街」の杉狂児「武装警官隊」の佐伯秀男「破戒(1948 木下恵介)」の清水将夫等である。
1949年製作/71分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1949年1月18日
ストーリー
浩輔は役所の課長を勤めであるが、お役人生活は楽ではない。課長夫人俊子のミシンの内職でも追いつかない。どうも最近二人の間がしっくりいかないのも今の世の中がそうさせるのだろうか。山といえば川と答える、右と出れば左と出る。「別れよう」「別れましょう」と遂にある晩二人の不満が爆発した。さて別れるとしても共有財産である茶たんすつくえはどうしようという事になるが、結局共有財産は売払いその金で結婚解消旅行に出かける事に決まる。行き先は新婚旅行と同じ紀州路へ。白浜--串本--勝浦、皮肉な事には勝浦の宿の一室は二人が初夜を結んだ思い出の部屋。同じ宿には俊子の友人咲枝が夫藤川ととまっていたが、派手な友人夫婦の振舞いが更に俊子の心をさびしくする。勝浦へ来る途中自動車にのせてくれた若い田島夫婦のかばんと自分達のかばんとが間違っていた事に気づいた俊子は田島夫婦を追って瀞八丁へ行く。その後を浩輔が追う。瀞八丁には二人には目の毒である藤川夫婦も来ていた。俊子と浩輔は散歩に出た田島夫婦をさがして山道に行き浩輔はあやまって足をふみはずす、俊子は狂気の如く夫の姿を求めて夫の名をよんだ。浩輔は間一髪というところで松の木に飛びおりて助かる。夫の姿を見失った俊子はがけ下へ下り足をくじいて倒れる、その時ガッチリと俊子の身体を抱き起こしたのは浩輔であった。そして二人はしっかりと抱き合った、そこにはみじんのうそも見えなかった。派手な振舞いを続けていた藤川はヤミの横流しで刑事にひかれて行った。「貧乏でも私は幸せだわ」と俊子はつぶやいた。その夜いく日ぶりかで二人は枕を共にした。翌朝大阪へ走る列車の中の二人へ「テイブルチャダンスイマダブジ」と叔父からの電報が届いた。