炎の男
劇場公開日:1948年
解説
製作は「戦争と平和」の伊藤武郎が当り、原案は「わが愛は山の彼方に」の山形雄策と新協劇団の上演脚本『武器と自由』を書いた大沢幹夫との協同原案で、脚本は「女優(1947)」の演出者衣笠貞之助と「命ある限り」「地下街二十四時間」を演出した楠田清との協同執筆で楠田清が演出担当。「地下街二十四時間」の仲沢博治が撮影する。「銀嶺の果て」の河野秋武と「女」の水戸光子「戦争と平和」の伊豆肇が主演する外、国鉄当局、労組の協力を得て製作する。
1948年製作/日本
劇場公開日:1948年
ストーリー
投光器の鈍い光の下--操車場、交替の時間である。起きあがってみんな仕事にでかける。その時三田という青年が貨車を踏み外して死んでしまう。出札掛の宮本トキは驚いてかけつけるが、自分の弟ではなかった。父母のない姉弟は、半田銀平が唯一の頼りであった。彼は八年間機関助士としてカマタキをやってきた熟練者なのである。現在のすさんだ状勢は、国鉄のあらゆる部門に影響している。レール、車輪、貨車、客車そして機関車、石炭、それらが文句なしに悪結果を毎日生んで行く--時も時銀平は貨車泥棒を見つけ、機関士でない彼が機関車を動かして泥棒をおそうがそれが規程にふれて彼の折角の意図はくづれてゆく、何んのことはない、生きる道はいくらでもあると町のヤミ屋に転落してゆく銀平は、荒れてゆく自分の心を知っていた、丁度その時戦友の津村幸吉が尋ねてくる。彼のえりには判任官の章しがあった。友情は破れてしまう、恋人のトキも次第に銀平に愛想をつかしてゆく、町に流れてゆく、銀平はとあるカフェーでヤミ屋の連中に汽車をとめることを約束し、でい醉に落ち入る、幸吉は何んとかして正道にもどしたいと思って努力する。嵐の晩であった。悪の中から身をもって銀平を救う幸吉の友情はついに銀平のデカタンを目覚ますのであった。風速二十米、列車が出るか出ないか、然し幸吉と銀平は立上った国鉄はおれの手で。列車はあらしの中を動き出した「遠方進行」と呼応する銀平は、トキとの「結婚進行」も間もなくのことであろう。