満月城の歌合戦
劇場公開日:1946年12月31日
解説
「のんきな父さん」に次ぐマキノ正博監督作品。
1946年製作/83分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1946年12月31日
ストーリー
昔、四国の名門阿波の青年忍丸は満たされない日々を送っていた。彼は新思想の持主だったので、まだ一度も見たこともない紫姫となぜ結婚しなければならないのかと悩んだ。隣国の尾花姫を愛する彼の悩みを知らない領民たちは、今夜に迫る祝典を祝った。そこへ突如悲報がもたらされた。紫姫とその兄仙波太郎が鳴門の激流中に巻かれたというのである。門中の嘆きをよそに忍丸はこの奇跡に驚喜した。彼は尾花姫のもとに求婚の使者として寵愛の小姓花丸を送るが、皮肉にも尾花姫は美貌の使者、花丸の恋の虜となってしまう。その花丸、彼女こそ男の本心を探るべく生き永らえて殿中に上った紫姫その人なのだった。その頃尾花姫、花丸、忍丸の恋のもつれをよそに花丸を激しく嫉妬する三人があった。彼等は無法にも花丸に決闘を申し込むが、かつて花丸とその兄を救った淡路の新八が再び救いの手をさしのべる。一方、執拗な彼等は再び花丸を討とうとしたが、花丸の兄仙波太郎に会い敗れ果ててついに彼等は役人へ訴える。が、誤解した短気な新八は激怒し仙波太郎の人でなしを罵倒しつつ獄牢に惹かれて行く。これを見送る仙波太郎を認めた尾花姫は、彼を花丸と思い込みその無情を責め、更に秘めた心のうちを打明けて迫る。彼は姫の熱情に動かされ乞われるままに愛の誓いをかわす。が、これを見てとった家老の黒右衛門は絶望の余り姫のふしだらを民衆の面前で暴こうとする。この時下獄した新八は黒右衛門の野望を突き今こそ革新の指導者を得なければならない時だと絶叫、ここで民衆は仙波太郎を指導者に選出する。こうして自由と平和の朝の訪ずれる日、苦衷を解した忍丸と、花丸ならぬ紫姫の二人も結ばれる。