修道院の花嫁
劇場公開日:1946年9月24日
解説
田口哲の復帰第一回作品。
1946年製作/80分/日本
配給:大映
劇場公開日:1946年9月24日
ストーリー
海外から復員して来た雄吉は北国の故郷にある父母の牧場に帰って行った。彼は召集前から酪農事業を大きく発展させたいという理想を抱いていた。彼の恋人の由利子は彼の最も良き理解者であった。それで彼は出来るだけ早く由利子と結婚し、理想を実現しようという愉しい希望を抱きながら帰って来たのである。彼は生まれつき明るい、一見駄々ッ子のような楽天的性格の持ち主であった。ところが帰ってみると父は経営難から残った牛を売り払うところであった。驚いた彼は買主に牛を返してくれと頼むとその買主は十日以内に労働者を集めてみたまえ、その上で牛は返そうという返事だった。しかし地元では労働者を雇い入れるのは不可能であった。そこで雄吉は、由利子と、戦地で彼の仕事に協力しようと誓い合った仲間を連れてくることを、父に約束して上京した。東京で彼は学生時代個人的に世話になった教授本多宅を訪れた。由利子が本多宅に寄宿していたからである。ところが由利子は雄吉の部隊全滅の報を聞いて故郷へ帰ってしまっていた。それで彼は仲間を集めて故郷に帰る途中最後に由利子の田舎に立ち寄り、彼女を連れて行こうと決心した。翌日彼は川俣の処を訪ねて牧場行きをすすめたが川俣は応じなかった。清谷を訪ねてみると彼は川俣の処に行き来する内に川俣の妹の波江と恋人同志になっていた。清谷も雄吉のすすめには応じなかった。彼はがっかりして学生時代の親友相原を訪ねてみた。相原こそは賛成してくれると思いきや意外にも彼は闇ブローカーをしていた。そしてやはり牧場行きには賛成しなかった。雄吉は相原の妻が、相原の持って来たバターを売り捌けと言われ困っているのを見て、無断で持ち出し、街頭で正常な値で売ろうとしたが、それがインチキだと疑られて買う人もない。あげくの果てにそこへ来た青空市場の用心棒達にノックアウトされた。彼はそこで幸一という元気な浮浪児と知り合いになり牧場へ連れて行くことになった。それから又相原を訪ねて牧場行きを持ち出し相原と彼の妻とを牧場へ同伴することに成功した。勇気を倍加して川俣を再び誘ったが川俣は賛成しなかったが妹の波江は賛成した。清谷も波江にすすめられて牧場行きを承知した。川俣も遂に牧場行きを決し五日後に雄吉が一同と由利子の家を訪ねると、由利子は親のすすめる縁談を拒絶して修道院に入ったということだった。早速彼はその修道院に由利子を訪ねた。短い面会時間の間に冷たい蝋人形のような態度をとる由利子を雄吉は全身全霊の愛と情熱を傾けて説いた。泪の中に由利子の心境が再転換を遂げ、彼女は遂に院長の正式の許可を得て修道院を出、一同と共に牧場に向かった。そして約束の十日目--雄吉は見事に牛を取り戻し牧場の再建に進むことができた。