伝七捕物帖 幽霊飛脚

劇場公開日:

解説

伝七捕物帖シリーズの第十一話。城昌幸・土師清二・陣出達朗・野村胡堂の原作を、「水戸黄門漫遊記 御用御用物語」の安田重夫が脚色「伝七捕物帖 女肌地獄」の酒井欣也が監督した。撮影は「水戸黄門漫遊記 御用御用物語」の片岡清。

1959年製作/83分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1959年8月2日

ストーリー

将軍家斉の頃、年頃の娘を次々と犯して殺す幽霊飛脚なる殺人鬼が江戸にあらわれた。或る夜、小普請組若狭勘解由の娘お市を奪うという予告状が来た。警固を依頼された伝七、道場主大場接心斎らで邸は十重二十重に囲まれた。正四つ、猛烈な爆発音が突如として起った。一同が気をとられたすきに、お市は朱に染まって死んでいた。邸出入りの仕出し屋の岡持に爆薬はしかけられていた。幽霊飛脚が奇怪な般若の面をつけていたこと、得られた手掛りはこれだけだった。上方から伝七の子分竹が帰って来た。竹の活躍を待っていたように幽霊飛脚は再び予告状を出した。材木問屋羽黒屋の娘お絹だった。警備は何の役にも立たなかった。お絹も死んだ。伝七は逃げる曲者を発見、右手に分銅を投げつけたが逃げられてしまった。その日伝七は、お絹が大奥へ上る予定だったという意外なことを聞いた。将軍側室お万紀の方に代る側室が老中の命で募集されていることも分った。幽霊飛脚はお万紀の方の頼みで新しい側室候補の娘を殺し廻っているのに違いない、と伝七は考えた。米問屋立花屋の娘くめが新たに候補に上った。能宗家の跡取り新三郎と恋仲のくめは訪れた伝七に物言いたげだった。その帰途、伝七は覆面の一隊に襲われ、川中へ姿を消した。翌日伝七の偽りの葬式があった。伝七は羽黒屋事件以来右手に繃帯した大場接心斎をくさいとにらんだ。竹の探りによると、果たして大場道場は、忍び道具で一杯だった。伝七の手紙でつれ出された伝七の女房お俊、新三郎は今や正体を現した大場に監禁された。その夜の御浜御殿の薪能の席でくめは将軍に目通りするはずだった。伝七たち捕手が大場道場を包囲した。乱戦の最中、大場は般若の面をつけた男に刺し殺された。伝七手練の分銅が飛んだ。落ちた般若面を見て新三郎は驚いた。以前に牧野内膳亮に贈ったものであった。牧野は立花屋のくめを推選した男である。能が始まった。くめが牧野に伴われ家斉の御簾の中に入った。舞台では般若面をつけた新三郎が現れ、牧野を驚かせた。ことの露顕を見てとった牧野は大胆にも家斎に向って脇差しを抜いた。しかし御簾の中は家斉ならぬ町奉行だった。床下に忍んでいた牧野の配下、捕手一同の乱闘がつづいた。しかし牧野の忍びの秘術も伝七にはかなわなかった。

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