若い豹のむれ
劇場公開日:1959年6月16日
解説
日刊スポーツ連載の秋永芳郎の原作を、「祈るひと」の三木克巳が脚色し、「俺は挑戦する」の松尾昭典が監督したアクションドラマ。撮影は「東京の孤独」の高村倉太郎。
1959年製作/84分/日本
配給:日活
劇場公開日:1959年6月16日
ストーリー
銀座裏の高級バー“リラ”の美しい馨子を、ボクサー志望の白川浩は愛していた。馨子は浩の義姉だった。ボクサーだった浩の兄と死に別れ、バーに勤めて経済的に浩を助けている馨子を、彼は義姉としてではなく愛していたのだ。浩の気持を知れば知るほど、かえって馨子は彼を避けた。彼女は、かねて自分にいい寄っていた日東石油社長宮川周平に近づいて、やり場のない心をまぎらせた。馨子と周平が会っていた夜、周平の病に伏していた妻が、一人娘の由布子にみとられながら死んだ。由布子と浩は同じ大学の学生だった。由布子は浩を秘かに愛していた。周平の会社を訪ねた浩は義姉を愛しているなら捨てないでくれと周平に頼んだ。周平と馨子は結婚することになり、浩は怒りをリングの上に叩きつけた。晴れの試合で勝利を得ながら、浩の心は暗かった。義姉の結婚披露パーティの夜、街にとび出した浩はボクサーくずれのチンピラ進の紹介でキャバレー“ポエム”で顔役藤倉一郎に会った。進の姉チエミの誘惑が、浩の満されぬ心をひきつけた。悪の世界に入ろうとする浩をひきとめようとする由布子や、学友の大須賀や守屋の忠告も空しかった。進がなくした三万円を工面するため、浩と進は藤田の命令で秋田に向い、旧家の主人藤田大五郎と日東石油の契約を破らせる工作を買って出た。だが二人は、かえって藤田に意見されて帰ってきた。業をにやした藤倉は由布子をさらって周平を脅迫する挙にでた。チエミは由布子から、浩が本当に愛しているのは馨子なのを聞くと、彼女を逃した。そして藤倉のリンチを受けた。秋田から帰ってこのことを耳にした浩は藤倉の事務所にかけつけた。その騒ぎによって、浩は目に傷をうけて視力を失った。自分の代りにチャンピオンを志すという進を残して、盲目となった浩は東京を発った。総てを聞いた馨子は、今は自分がどうしても浩にとって必要なのを知った。周平と別れた馨子は、一人回復を待って目を治療する浩のもとにむかうのだった。やがてある町の浜辺に、浩の手をひく馨子の姿があった。