風のうちそと
劇場公開日:1959年3月24日
解説
吉屋信子の読売新聞連載小説を、「彼岸花」の共同執筆者・野田高梧と岩間鶴夫が脚色し、「愛の濃淡」の岩間鶴夫が監督したメロドラマ。撮影も同じく「愛の濃淡」の小杉正男。
1959年製作/97分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1959年3月24日
ストーリー
製薬会社社長庄司逸太を父にもつ品子は化学者の香田鎮男と結婚したが、鎮男が同じ研究室の寺島栄と同棲していたので離婚した。逸太は会社の腕利き社員牧寛一と初婚に破れて靖という五歳の子供をかかえた娘品子との結婚をすすめた。二人も同意した。しかし品子の異母弟の尚一は寛一をひどく嫌い、品子達には内証で鎮男の働く薬品研究所を時々訪れていた。尚一はまた寛一の弟圭吉が勤める博物館が好きなので、ある日品子が尚一と訪れるとそこでデパートで世話になった女店員千恵に会った。千恵と圭吉は恋仲だった。鎮男と同棲している栄は鎮男の出世を企みヘヤートニックの製造を始め、美容室を経営する三木照世に売出しを依頼した。照世は寛一と以前深い仲だったが寛一が品子との結婚のため照世と別れたので寛一に未練のある照世は栄の主人鎮男が以前の品子の夫であることを知るや、意地と嫉妬からこの投資を承諾した。そして数日後新婚旅行に旅立った寛一と品子のあとを追った照世は内密に寛一を呼出すと強制的に三百万円出資させた。その頃鎮男と遊んでいた靖が怪我した。急をきいて品子はかけつけたが、そんなことから寛一と品子の間は気まずくなった。折しも例のヘヤートニックが発売間際に至って製造停止となり、逸太に内密で出資した寛一は困惑した。そして照世との過去も打明けて自ら福岡へ転勤を願い出た。千恵の父克衛は千恵が圭吉と合同演奏会に出るというので晴着を作りたい親心からつい悪質骨董商小宮の巧言にのって偽筆し、しかも小宮が圭吉を利用してそれを二十万円で売ったため克衛は起訴された。事の次第を聞いた品子の好意で二十万円が返済され克衛一家は救われた。夫寛一が栄や鎮男をかばっていたことを圭吉と千恵から聞いた品子は今や夫への疑念も晴れて福岡へ同行する決心した。