JA七五〇号機行方不明
劇場公開日:1959年3月25日
解説
日本新聞協会懸賞当選放送劇の映画化で、原作者は西日本木材新聞の現役記者・毛利恒之。「第三の死角」の直居欽哉が脚色し、新進第一回の山崎徳次郎が監督した。撮影は「仮面の女」の岩佐一泉。
1959年製作/63分/日本
配給:日活
劇場公開日:1959年3月25日
ストーリー
真白な雪を頂いた山脈に囲まれた地方都市、その真中に古ぼけた建物の毎朝新聞支局がある。およそ華やかな新聞社とはかけ離れた地味で、ノンビリした空気がこの支局を支配している。ここでは新聞研究室で教えられた正義や人権というものがそのままの形で通らないことが多い。東京からこの支局へ転勤して来た若い記者長谷は、こんな空気がたまらなかった。彼が支局へやって来たとき、まずこんな空気をふき飛ばそうと思った。しかし、彼の理想はあくまでも理想だった。町のボスがマーケットをつぶしてカントリーハウスを建てる陰謀をすっぱ抜いた彼の記事は支局長の手によって握りつぶされてしまった。しかし長谷はそんなことにへこたれなかった。彼には非情な記者魂しか持ち合せていなかった。そんな彼が昔気質の山梨日報の記者木庭には腹が立ってならなかった。たまたまい合せた呑み屋で、木庭は「特ダネを取るばかりが能じゃない」と長谷をさとした。その木庭の娘京子と長谷は恋仲だった。ある時、長谷は酒場で土工たちが、飛行機が観音経渓谷の辺に落ちたことを話しているのをきいた。彼の記者魂がピクリと動いた。「そうだ、行方不明のJA七五〇号機だ」彼はオートバイで現場へ向った。長谷は雪に足をとられながら飛行機の残骸を求めて歩いた。その時、木庭の姿が岩陰に見えた。二人はにらみ合い競って探し廻った。焦った長谷は雪に足をとられあっという間に谷底に落ちた。脚を骨折し、頭や腕に裂傷を負って気を失った長谷を木庭は、一生懸命介抱した。かいあって長谷は気をとり戻した。木庭は「行方不明機発見」の紙切れを鳩に持たせて空へ放った。やがて救援隊が駈けつけた。担架に乗せられた長谷に木庭は現場写真と記事をそっと手渡し、「君の手でこれを発表してくれ」と言うのだった。