花は嘆かず(1958)
劇場公開日:1958年12月14日
解説
北条誠の連続放送劇を映画化したもので、「顔役(1958)」の椎名利夫が脚色、「泣き笑い日本晴れ」のコンビ穂積利昌・西川亨が監督・撮影したメロドラマ。「この天の虹」の大木実、「大東京誕生 大江戸の鐘」の森美樹、「自殺を売った男」の有沢正子に、泉京子・佐竹明夫などが出演する。
1958年製作/169分/日本
原題または英題:Flowers Never Tell
配給:松竹
劇場公開日:1958年12月14日
ストーリー
夏川忍は大阪の紡績会社に勤める榊原清之と知り合った。母が車にはねられかけたとき、親切にしてくれた青年である。彼も彼女に好意を抱いた。忍は仕出し屋「やなぎや」の二階を母と借りてい、扇流舞踊の代稽古格である。清之は従兄の篠原を兄のように尊敬していた。篠原の妻・奈緒子は別居して、生花の師匠をしている。清之は二人を元に戻そうとしていた。忍は大阪へ出張中・師匠扇昇翁の息子・昇之助に言い寄られた。同じホテルに篠原の友人・土木技師の岩本が泊ってい、篠原が忍を救った。忍には津久井昌彦という幼馴染がいた。清之と同じ会社に勤めている。学生時代、忍と言い交した仲だ。昌彦は社長の娘・杏子と婚約し、倉敷の工場長になることに決る。忍は昇翁に踊りを辞めたいと申し出、昇翁から破門を言い渡された。忍は知り合いの奈緒子に頼み、篠原が編成局長の京都の放送局に勤めることになった。清之も倉敷に転勤することになった。杏子が度々遊びに来、清之にモーションをかける。清之は出張で大阪へ来たが、忍には会えない。奈緒子から篠原の新しい女が忍だという噂を聞かされる。清之はそれが本当だと思いこむ。篠原は忍を清之の嫁にと思っていたのに。忍が清之の帰りの汽車まで追ってきても、清之は冷くした。忍は下関に行く岩本に連れられて倉敷へ向う。清之は杏子と津久井のお供で、岡山のホテルへ行っていた。忍はホテルへ来た。清之は取合わぬ。その夜、忍は宿でまんじりともしなかった。忍は岩本の力を借りようと鹿児島へ向う。清之が後を追ったときは遅かった。指宿の町で、忍は岩本の世話で観光ホテルに住みこみ、女中に踊りを教えることになった。清之は杏子のことで津久井となぐり合った夜、杏子の強引さに思わず接吻する。彼は社長に呼ばれ、娘と結婚してくれと頼まれた。彼は断れなかった。そのことを彼の寮の女中・三枝子が指宿のホテルに勤めに帰ってきたとき忍に話す。清之は杏子との式を間近に控えて、やはり忍を愛していたと思い知る。忍は踊りのコンクールの審査に来た昇翁親子に会う。昇之助がボウ害しようとしたが、民謡踊りはつつがなく終る。しかし、岩本が現場でケガをした。山の温泉場で、岩本は忍に控え目な求愛をした。彼には亡妻の子供があったから。忍はそれに答えた。大阪では杏子と津久井の結婚式が行われた。清之は同僚の谷からこんどは本物を探せと言われる。忍の結婚の話も聞かされた。篠原夫婦は離婚手続きの際、古城が真実を告げ、誤解がとけ、仲直りした。清之は鹿児島へ向った。忍に会い、一言でも詫びたかったからだ。忍にはもう遅かった。しかし、岩本が若い二人のためと身を引き、仕事場の大泊へ帰って行った。清之と忍は大阪行きの飛行機で飛び立った。