哀愁の高速道路
劇場公開日:1958年11月19日
解説
松浦健郎の原作を、「酔いどれ幽霊」の石井喜一が脚色、「アンコなぜ泣く」の関喜誉仁が監督した歌謡映画。撮影は「これが最後だ」の藤岡粂信。小高雄二・堀恭子・木城ゆかりなどに、三浦洸一も出演している。
1958年製作/100分/日本
配給:日活
劇場公開日:1958年11月19日
ストーリー
銀座の宝石商に強盗が入った。閉店まぎわに、女を囮に使って宝石を奪って逃げたのだ。その車は湘南のハイウェイを西へ向った。非常ベルで駈けつけた警官が一発撃ち、女・矢口スミが傷ついていた。--三崎光次は扇医院に下宿していた。東京に栄転が決り、その送別宴を、院長の扇良一と看護婦の秀子が開いた。その時、電話がなり、国道で事故を起したからすぐ来てくれと云ってきた。「怪我人が先生に会いたがってるんだよ」。男の声は名を告げなかった。良一は秀子を連れて車に乗った。現場へつくと、彼らは拳銃をつきつけられ、治療を求められた。患者は苦痛にあえぐフミである。「来て下さったのね」。良一は自分が学生のとき同棲し、学費を助けてくれた彼女を決して忘れていなかった。貫通銃創の手術が終った。良一はギャング一味を警察に知らせることが出来なかった。数日後、フミのヒモ・横川から電話がかかってきた。フミの診察を命じるのである。レイクホテル28号室。そのメモを治療に来ていた刑事・倫野がちらとのぞいた。警察は一味が車を捨て、どこかに隠れたのを知っていた。良一は秀子のとめるのを振り切り、ホテルへ車を飛ばす。スミが一人で待っていた。--昔、スミは良一のために、ウソをついて身を引いたのだ。スミはそのことを、やっと良一に話した。「一生ウソをついていてくれた方が……」良一は未だに彼女を愛していたのだ。彼は彼女に自首をすすめた。二人は抱き合う。「明日、その足が歩けるようになるから、警察へ行こう。」良一は帰って行く。倫野が待ち構えていた。彼をずっと尾行していたのだ。秀子は一人でホテルへ行き、スミに訴えた。「先生を誘惑しないで下さい」。その時、横川がやってきた。スミは秀子を逃そうとするが、失敗する。良一がやってきた。「二人とも自首しなさい」。横川はあざ笑った。「お前たちは俺たちと一緒にホテルを出るんだ。」彼は良一に拳銃を向けた。瞬間、スミが体ごと拳銃をもぎとった。格闘。倫野が飛びこんでき、横川は捕った。スミは床に倒れ、胸から血がふき出た。手術もむなしかった。--良一の車がハイウェイを遠ざかっていった。