南米パタゴニア探検 大氷河を行く
劇場公開日:1959年8月11日
解説
昭和三十二年十一月から三十三年(足かけ五カ月にわたる)にかけて行われた、パタゴニア地区探検とアレナレス登頂の記録。「マナスルに立つ」の依田孝喜カメラマン(毎日新聞社)が、今回の探検にも参加し、毎日映画社の田中正カメラマンと共に、この壮挙を色彩フィルムに収めてきた。全部で三万フィートのフィルムを、内田吐夢監督が約七千五百フィート(一時間二十分)に編集した。前半は、チリの風物を北から南へと見せ、後半はパタゴニア地区の大自然に焦点がおかれる。氷河上部のアイス・フォール、クレバス(氷河の割れ目)、乱立するセラックス(氷塔)、さらに、アレナレス登頂のスリルなどが興を呼ぶ。
1959年製作/88分/日本
原題または英題:A Voyage to Patagonia
配給:映配
劇場公開日:1959年8月11日
ストーリー
南米パタゴニア地区は、その四分の三がアルジェンティン領、四分の一がチリ領である。アルジェンティン側には港や都市があるが、チリ側は人跡未踏の氷河に掩われた山岳地帯である。この大氷河を探検・調査するため、毎日新聞社の後援で、神戸大学田中薫教授を隊長とする日本隊九名、チリの山岳協会とチリ大学関係者からなるチリ隊八名、計十七名のパタゴニア探検隊が結成された。一九五七年の十一月と十二月、日本隊は二班に分れて南米に向い、チリの首都サンチャゴでチリ側と合流、登山隊と学術調査隊が組織された。登山隊がコロニアに向って出発したあと、学術調査隊はマジェラン海峡のプンタアレナスに飛び、約二十日間にわたってパイネ小群、フェゴ島、南部太平洋岸のフィヨルド地帯(太古の氷河がのこした爪あとのある地帯)、湖水地帯などを調査、大きな成果を収めた。一方、コロニアに着いた登山隊は、目的の山、アレナレス(標高三四三七メートル)へと歩を進めた。数々の困難や危険をおかしながら前人未踏の大氷河をすすみ、五つの前進キャンプを設置した。三月六日、三名の隊員がついにアレナレスの頂上をきわめた。