かあちゃんは犯人じゃない
劇場公開日:1958年5月25日
解説
宝石所載の仁木悦子の原作を、新人天野妙子が脚色、「土俵物語」の村山三男が監督、「有楽町で逢いましょう」の秋野友宏が撮影した推理映画。小柳徹、若松和子、矢島ひろ子、見明凡太朗などが出演する。
1958年製作/68分/日本
劇場公開日:1958年5月25日
ストーリー
野沢和夫少年は、シャボン玉をつくる石ケンをとりに家へ帰った時、偶然義父の高倉が何者かに殺害される現場を目撃した。驚いた和夫が交番の長谷川巡査をつれて戻ると、現場には血のついたナイフを持った母親澄江が呆然と立っていた。彼女は直ちに逮捕された。--料理屋の女中だった澄江は、和夫が病気になった時、金を出してくれた高倉と義理で結ばれた夫婦であり、このごろでは仕事もせず、母子に辛くあたる高倉と別れたいと思っていた。そんな事情やナイフの指紋などから、当然澄江の犯行と見られた。和夫は長谷川巡査の家にひきとられ、その息子で和夫の友達の信一はじめみんなに同情されたが、高倉殺しは澄江の犯行だと思っていた。高倉がいきつけの飲み屋「きっこう屋」の春美も和夫に親切にしてくれたが、母親の犯行を疑わなかった。だが和夫だけは「かあちゃんは犯人じゃない」と信じた。そして、ここの警察とは別個に捜査中だという本庁の刑事に出会い、母親の無罪を信じているという刑事に協力を誓った。早速、自分の家に忍びこみ、事件前日の義父の様子を思い出そうとした時、意外な闖入者。--その男は勝田といい高倉とは「きっこう屋」の飲み仲間だった。彼は探しものが見当らないらしく、がっかりした様子で去った。勝田こそ真犯人? だが彼はまもなく臓品故買という全然別の事件で逮捕された。和夫はその逮捕を高倉殺しのためと思い込み、かあちゃんが帰ってくると有頂点になって、大事な石ケンを半分信一に分けてやった。と、石ケンの中からガラス玉みたいなものが出てきた。和夫はそれを信一にやった。本庁の刑事に会って一部始終を話すと、刑事は、ガラス玉はダイヤで、それを持って警視庁へ行けば澄江は必ず帰されるという。和夫は信一からダイヤを返してもらい、刑事と一緒にタクシーに乗り込んだ。だが車は警視庁とは反対の方向へ走り、一軒の家へ。中には意外にも春美の姿が--。刑事とはまっかな嘘で、彼、赤名こそ真犯人、春美がその共犯だったのだ。和夫からダイヤを取り上げて殺そうとした時、信一からすべてを聞いた長谷川巡査一行が駈けつけ、真犯人は逮捕された。