佳人

劇場公開日:

解説

新人作家藤井重夫の原作の映画化。脚本は老練棚田吾郎、撮影は「禁じられた唇」の高村倉太郎、音楽はこれまたソフト映画お得意の斎藤一郎が担当している。主演は「心と肉体の旅」の葉山良二、「嵐を呼ぶ男(1957)」の芦川いづみ。助演陣には笠智衆をはじめ、村瀬幸子、金子信雄、山岡久乃などのベテランが出演している。

1958年製作/105分/日本
原題または英題:Forever My Love
配給:日活
劇場公開日:1958年2月5日

ストーリー

昭和十八年秋のこと。大学生のしげるは、入隊する前に一目でも佳き人に逢いたいと郷里へ向った--。山陰地方の城下町、もと藩の典医にふさわしく格式高いたたずまいを見せた家。その家の出格子の中程に、一尺角程のガラス窓があり、晴れた日も雨の日も、あの人は窓の前に坐って家の表を眺めている。その人の名はつぶらといった。彼女は小児麻痺なのだ。小学生のしげるは、窓辺の肱掛け椅子に行儀よく坐るつぶらの傍で、よく蓄音機をかけて彼女と遊んだ。つぶらに嫉妬を感じていた豆腐屋の娘時江は、ある日しげるを氏神の暗い本殿の中に誘いこんだ。早熟な上級生の時江は、つぶらに出来ない方法でしげると仲良しになろうと思ったのだ。しげるが、時江と太刀雄の駈落ちを聞いたのは中学に入ってからだった。太刀雄は料亭の息子で、つぶらの兄とは同級だった。中学から大学へ、しげるは戦争のさなかにも不幸な佳人への純愛をひたすら抱き続けた。--列車は郷里の町へ着いた。が、入隊前にやっと逢えた二人も、幼い時からの慕情をうちあけられぬまま別れた。苛烈な戦争は終った。しげるが復員した日、つぶらは花嫁衣裳の着付も終り、母親に抱かれて車に乗るところだった。つぶらの家では、父も兄も死に、太刀雄が家人のようにつぶらの家の面倒を見ていたが、結局つぶらは太刀雄と結婚せざるを得なくなったのだ。しげるはたまたま芸者姿の時江に会った。時江はしげるの純粋な心を知ると、しげるの代りになってつぶらにつくすことを約束した。しげるが上京すると間もなく、時江は太刀雄の料亭に傭われ女将として住みこみ、つぶらの世話をやいた。太刀雄がつぶらの寝室に芸者を呼んで、異常な痴態をみせつけて楽しんでいるのを知ると、みずから体をはって抵抗した。しげるは大学を出て就職し、そして結婚した。つぶらが時江の好意で帰郷したしげるに逢ったのは、それから間もなくだった。翌日、時江が転がるようにしげるの家へ駈けこんで来た。つぶらが自殺したのだ。時江は「あんなに逢いたがっていた人に逢えて、思い残すことはなくなったのね」としみじみ語った。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

映画レビュー

4.0チョイ役だから別に問題ないが、つぶら父は笠智衆ではない。怖そうなオ...

2020年7月12日
スマートフォンから投稿
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 0件)
collectible