素っ飛び笠

劇場公開日:

解説

大衆小説連載の陣出達朗の原作を、「忍術御前試合」の小川正が脚色し、「竜虎捕物陣二番手柄 疾風白狐党」の内出好吉が監督、「ふり袖大名」の藤井春美が撮影した娯楽時代劇。主演は「忍術水滸伝 稲妻小天狗」の東千代之介、「逢いたいなァあの人に」の島倉千代子、「母つばめ」の松島トモ子、ほかに月形龍之介、山形勲、松風利栄子など。

1958年製作/86分/日本
劇場公開日:1958年1月22日

ストーリー

吹き矢の名人猪之助は旗本五千石木連川家の当主の落胤だった。亡母から渡されたお墨付きを持って、一度木連川家を訪ねたが、門前払いきれた。今度は木連川家の方から世継ぎに迎えにきたが、異母妹綾姫の気持を知りながらも猪之助の方で断り、旅へ出てしまった。彼の後を慕って、彼が舞台に立っていた小柳亭の看板娘お勢も旅に出た。綾姫の頼みで、木曽川の家臣榊原と早見も街道を急いだ。猪之助の吹き矢の腕を知った悪貸元白玉の秀五郎と木曽の大五郎は、士地の親分万吉を吹き矢で殺し、猪之助に罪をなすりつけた。その殺人現場をスリのとくさの辰が見ていた。猪之助は娘馬子とも州をチンピラやくざの横車から救った。とも州の母が死に、その遺言で、父を探して木曽へ、とも州を送り届けることになった。彼を犯人だと思う万吉の子分たちの襲撃をやっと逃れると、今度はお勢に捕り、以後三人旅を続ける。秀五郎一味はさらに木曽の大親分彦蔵の縄張りと、その妹千代を狙っていた。彼らに襲われた猪之助は足をすべらし、谷底へ落ちた。彼は附近の山小屋で隠居している大黒屋彦右衛門のもとへきた千代に救われた。そこで、とも州の本当の父は彦蔵だということが判った。旅立った三人が福島へ着いた時、秀五郎らに追われるとも州たちに出会い、彼らを救った。猪之助に喜んで抱きすがったお勢を見て、千代は顔を覆って走り去った。大黒屋を訪れた猪之助ととも州に対して、彦蔵は証拠のお守を認めず、大黒屋を乗取ろうというのだろうとののしった。猪之助は余りの暴言に、彼を斬ろうとした。その時、とも州が父をかばったので、やっと彦蔵の誤解もとけた。祭の仮装行列で街をねっていた千代が秀五郎一味に襲われた報せに、猪之助は修羅場へ走った。そうして、真犯人を知った万吉の子分たち、榊原らと力を合わせて、秀五郎、大五郎らを斬り伏せた。--木曽街道を、旅姿の猪之助が千代に見送られていた。彼は二年たったら……と千代に約束した。

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