危険な年齢

劇場公開日:

解説

石坂洋次郎の原作を長瀬喜伴が脚色、「青春の抗議」の堀池清が監督、「幕末太陽伝」の高村倉太郎が撮影した。日活スコープ、日活イーストマンカラーで思春期を描く。主演は「十七才の抵抗」の津川雅彦、日活初出演「くちづけ(1957)」の野添ひとみ、「殺したのは誰だ」の山根寿子。ほかに宇野重吉、清水将夫、内藤武敏の新劇陣に高野由美、小園蓉子、雪岡純、若水みや子など。

1957年製作/79分/日本
原題または英題:The Dangerous Ages
配給:日活
劇場公開日:1957年9月15日

ストーリー

両親と茅ケ崎海岸に住む高校三年生の村井和夫は、この夏休みにグループの石田たちと裏磐梯へキャンプに出かける約束だったが、母が心配するので旅行をやめる代りに、絵具を買って貰った。あくる日、砂丘でカンバスに向っていると、葉山ユリが背後から「石田クンに私も誘われてるのよ」と話しかけた。ユリの学校は横浜だが、同じ土地に住んでいるので、お互に顔見知りの仲--口をきくのは今日が初めてだ。心を弾ませてわが家へ戻った和夫は、父にたのみ旅行に出ることを承知させた。五色沼のキャンプ台地で夜を明かした和夫たち男五人、女三人のグループは、元気に山路を登って行く。途中で、ユリは丸木橋から足をすべらせて、小川に落ち込んだ。和夫が薪を拾ってくると、濡れたユリのシュミーズを女たちが焚火でかわかしていた。ふっくらと丸い胸と腰にタオルを巻いた裸のユリは、林の中で体を縮めている。ユリが旅行から帰った夜、北海道支店長に栄転した父は、母を相手にビールを飲んでいた。その翌日から、和夫はユリをモデルに油絵を描き始めた。学校の秋の展覧会に出品するためだが、それはユリがびっくりするほど暗い色調であった。劣等感に支配されているせいだと和夫はいう。二人の恋愛は急速に進んだ。ある日、二人は東京へ遊びに出かけた帰り、羽田で航空機に乗って東京上空を一周した。「あなたと一緒なら死んでもいいと思ったわ」と、茅ケ崎へ着いたとき、夜空にきらめく星を仰ぎながらユリはいった。死について、二人は語り合った。そして、ユリと和夫は申合わせた同じ時間に多量の睡眠剤を飲んで自殺を図ったが、致死量ではなく、二人とも一命をとりとめることができた。両家の親は泣いて怒り、子供たちに交際を禁じた。葉村一家が北海道へ発つ朝、ユリは松林で和夫に会った。ユリは香水びんを渡し、和夫は自分の綴った詩集を贈った。「僕は大人になってもユリのことは忘れないよ」と、和夫はユリの手を握りしめた。日航機が羽田を飛び発つ頃彼は教室で涙を浮べていた。

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