へそくり親爺
劇場公開日:1957年6月12日
解説
阿木翁助の原作を「チンドンやの娘」の館直志が劇化、松竹新喜劇で上演した「おじいちゃんの飛行機」を同じく「チンドンやの娘」の松浦健郎が脚色したホームドラマ。監督は「漫才長屋に春が来た」の山崎裕理(憲成改め)、撮影は「チンドンやの娘」の西前弘が担当した。主演は「チンドンやの娘」に引続き横山エンタツ、清川虹子、渡辺篤、「美貌の都」の汐風享子、「金語楼純情日記 珍遊侠伝」の小原新二など。
1957年製作/47分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1957年6月12日
ストーリー
滝山福太郎ことおじいちゃんは、苦労して大学を出してやった息子の福次郎が、今度医学博士になったのを機会に、持ち山を売った二百万円を持って大阪へ出て来た。息子の家に落ち着いたものの、タイル張りの風呂で浪花節をうなったり、孫の甫に竹トンボを作ってやったりしたので、息子の女房青子から山出しの無学、低級とすっかりにらまれてしまった。甫にとっては、おじいちゃんはよい遊び相手なのだが、医学博士の子供に竹トンボでは青子の虚栄心が許さない。その代りに立派な玩具の飛行機を彼女は買って与えるが、甫にとっては、いくら立派な玩具でも飛ばない飛行機ではつまらない。それで、また竹トンボを作ってくれとおじいちゃんにせがむのだった。おじいちゃんは困ってしまった。一方、青子はたまたま今夜開かれる祝賀会におじいちゃんを出席させないといって福次郎と云い争った。フォークの使い方も知らぬおじいちゃんに出て貰っては世間体が悪いというのである。おじいちゃんが祝賀会に出席しなかったことを知って憤慨したのは、矢張り大阪にいる娘お光であった。住んでいる長屋から立退きを迫られているお光は、かねがね出世した兄夫婦の見栄に反撥を感じていた。世話になった親をないがしろにして、とお光はおじいちゃんを家に連れて来た。そして、荷物を福次郎の家から持ち出しに行くと、恋人がありながら他のブルジョア息子と結婚させられそうになっている福次郎の長女杏子が家出の支度をしているところだったので一緒に連れ帰った。甫もおじいちゃんに会いたいと道に迷いながらもやって来た。福次郎と青子は自分たちの見栄を今さらながら反省した--いまは皆の心は打ちとけ、おじいちゃんの二百万円でお光の家も買取り、福次郎の病院建築の費用も出来た。青空には甫の竹トンボが飛んでいた。