忘れじの午後8時13分
劇場公開日:1957年4月3日
解説
前作「午後8時13分」に続いて同じく“平凡”所載菊田一夫原作「忘れじの午後8時13分」を「鼠小僧忍び込み控 子の刻参上」の小国英雄が脚色し、「極楽島物語」の佐伯幸三が監督するメロドラマ。撮影は「続・銀河の都」の中川芳久。主なる出演者はコンビ「駅馬車襲わる」の根上淳と同じく川上康子、「大番」の加東大介、「朝の口笛」の品川隆二、ほかに北原義郎、三島雅夫、高松英郎、浜口喜博など。
1957年製作/96分/日本
劇場公開日:1957年4月3日
ストーリー
神戸拘留所に留置されていた原田譲二は突然釈放される。譲二は、由比子が坂上雄二の好意で彼の社へ勤めるべく神戸へ下ったとは知らず、駒田看守に送られて上京したが、彼をひき戻すための昔の仲間で刑事殺しの嫌疑が待っていた。そして蘇州の鉄らにより神戸へ送られる途中譲二は隙をみて脱走。彼が再び指名手配になったと聞き、絶えず彼の面倒をみてきた矢田部刑事は心を痛める。そこへ少しでも譲二の苦労を救いたいと由比子が頼みに来た。キャバレー神戸、植村信吾の凄いドラムの音を背に客と踊る由比子。譲二はききこみでここが根城と知って入って来、由比子の姿に驚く。「いつもの時間にいつもの処で」の電話。そして月光の下、会下山公園で抱き合う二人の姿があった。兵庫棧橋。由比子と約束して出かけた譲二の前に現れたのは八田一味。信吾の情報で由比子との連絡、そして彼女の後に警察の手があることは既に知れていたのだ。譲二と八田がもみ合う中にピストルの音があり八田は倒れる。かけつけた由比子は譲二を励まし自ら罪を被るべく自首する。譲二は正当防衛の証しをたてるため目撃者の鉄を探すが、鉄は拳銃で譲二を傷つけるとともに自らも警官の弾にあたって倒れてしまう。自分の潔白を証拠だてる何ものもなくなり譲二は思案の末、矢田部刑事の宅へ行き、真相をうち明けた。譲二と由比子の陳述と矢田部刑事、駒田看守らの証言で先の刑事殺しの件は有利になったが、八田殺しについては依然行詰っている処へ意外な証人、植村信吾が現れて譲二は白日の身となった。晴れて抱き合う二人の頬を大粒の涙が流れて行く。