「朝雲暮雲」より 野武士と女

劇場公開日:

解説

中山義秀の原作『朝雲暮雲』(同光社刊)より「顔(1957)」の井手雅人が脚本を書き「相馬の唄祭」の酒井辰雄が監督した異色時代劇。撮影は「この女に手を出すな」の竹野治夫。主な出演者は「炎の氷河」の高橋貞二、「りんどう鴉」の北上弥太郎、高峰三枝子、「男の牙」の名和宏、「松竹まつりスタア総動員 スタジオ超特急 女優誕生 (二部作)」の島崎雪子。ほかに徳川夢声、石黒達也、伊沢一郎、市川春代など。

1957年製作/101分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1957年3月13日

ストーリー

元和元年五月、大阪夏の陣の最後の日。豊臣方の若武者、松前小弥太と雨森彦作は、敗戦で自暴自棄になっていたが、思いがけず兵糧倉の中に侍女・市女に守られた豊姫を発見、これを奉じて再起せんと城を脱出した。徳川方の警戒厳しく、鞍馬寺を落合う先と決めて小弥太は独り行くが、一方の彦作も市女、豊姫を助けて鞍馬へ急ぐ。ところが戦禍に戦く難民の群を途中目にした市女は、豊姫を旗印に立てれば再び戦が起り人々を苦しめる故に、田舎へ入って三人一緒に暮したいと願う。彦作は初めは断るが豊姫のか弱い姿を見て彼女を救おうと、家康の腹臣京極忠高の母、常高院に豊姫を預け命乞いするよう市女にすすめる。その頃、小弥太は独り豊家の鬼となり徳川方を斬り伏せたが自分も傷つき万作という元足軽に救われた。万作にはタカという野性的な娘があり、小弥太は激清にまかせ彼女と関係を結んだ。が彼の心は市女にあった。一方、彦作は市女と豊姫を常高院に預けたが、もはや徳川・豊臣の争いの時でないと覚り、常高院に勧められ徳川の家臣となつた。ところで彦作は村人の密告にあってタカを連れ村を出た。鎌倉に市女を訪ねたが会えず、荒みはてた今、野武士の頭目として家康の首を狙っていた。彦作は或る日、鷹狩に出た家康を襲ったが失敗、一方の家康は自分を救った家臣に五百石の加増を申渡すが、この侍こそ彦作であった。野武士を追って彦作は山中へ入るが、小弥太の姿を見て愕然、小弥太も彦作の変心に憤然として去った。数日後、家康救出の手柄で彦作は監察使として故郷へ赴くことになったが、今は妻となった市女の喜びとは反対に、時代の波に残された小弥太を思い暗然とした。その小弥太は、ある日、夫の任地へ行く市女の後をつけ、裏切者と彦作の役宅へ斬込んだ。激しく斬り結ぶ二人。そこへ家康逝去の報せと、続いて小弥太を追って警備の役人に射たれたタカの死が報ぜられた。小弥太は総ての希望を失った。やがてタカの墓標の前に佇んで動かぬ小弥太の姿が、落日の光を受ける丘の上に見られた。

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