復讐は誰がやる
劇場公開日:1957年1月29日
解説
サーカスを背景にしたスリラー篇。“小説と読物”所載、青木義久の原作から、原作者自身と「俺は犯人じゃない」の窪田篤人が共同脚色し、「地底の歌」の野口博志が監督した。撮影は新人松橋梅夫。主な出演者は、「最後の突撃」の水島道太郎、「お転婆三人姉妹 踊る太陽」の三橋達也、「沖繩の民」の左幸子、「孤独の人」の坂東好太郎らに加え、瀬川路三郎、西村晃、雪岡純、天路圭子、新人の筑波久子と服部千代子など。
1957年製作/93分/日本
配給:日活
劇場公開日:1957年1月29日
ストーリー
ブランコの竜こと中田竜太郎が澄子と演ずる、得意の手裏剣を使っての空中ブランコは柿崎サーカスの人気の的。竜を慕う澄子の気持は団長の柿崎も知っていたが、当の竜はいつも彼女を避けてしまう。今日もキャバレー・セシボンの地下賭場へ一人赴いた竜の姿。胴元拳銃の政や子分ネクタイの秀、オントの松らは竜を悪事の手先に使おうと考えていたが、博奕に負けた竜を政の情婦恵美子の手で誘惑させ、遂に強制の上、一味に加担させる。自分らの大親分である大川の金庫を狙う政らは竜の手引で金庫を奪った上、大川を射殺、驚く竜をも穴に蹴落し乱射した。泣き崩れる澄子共々、さびれた柿崎サーカスは巡業に旅立った。二年後、東京に戻った一座にはライフル銃の名手雄吉が加わり、澄子と組んで昔日以上の人気を呼んでいた。柿崎は竜を想い続ける澄子も雄吉と一緒にさせて人気を保ちたいと考えた。東京での興行は連日超満員だが、政と秀、松らは雄吉に見覚えあると首をひねっていた。その夜、キャバレー支配人室の松の前に、かつて深傷を受けつつ一命を全うした竜が復讐の形相凄く現われた。が松は何者かの投げナイフで絶命、翌日街は大騒ぎとなる。気をもむ柿崎の前に現われた竜は、生れ変ったつもりでやると一座再加入を懇願。翌朝、“ブランコの竜復帰”の新聞記事で雄吉の写真を見た政と秀は驚く。雄吉こそ殺した大川親分の伜だったのだ。その夜、対決した雄吉と政ら。投げナイフで二人は瞬時に虚空を掴む。竜復帰第一回公演の日、雄吉は自らの正体を竜に告げた。彼は舞台で竜を射殺する決意なのである。何も知らぬ澄子と共にブランコに乗った竜は、舞台で死ねば本望と覚悟を決める。しかし雄吉はサーカスを台なしにしたくないとその場は無事にすませたが、警察へ通報しようとした竜に激怒して、大格闘となる。しかし罪を一身に負って自首しようという竜の覚悟を知った雄吉は、駈けつけた刑事に自らの仕業を告白した末、竜と澄子の幸福を祈りつつ曳かれていった。