花の運河
劇場公開日:1956年8月7日
解説
女の幸福とはあたえられるものでなく共に築き上げるもの人生の荒波に打ち勝ちながら真実の愛を築くまでの波瀾に富んだメロドラマ。“婦人生活”連載の立松由記夫の原作から「名寄岩 涙の敢斗賞」の棚田吾郎が脚色、「姉さんのお嫁入り」の斎藤武市が監督、「殺人計画完了」の藤岡粂信が撮影を担当した。主な出演者は「帆綱は唄う 海の純情」の高田敏江、「しあわせはどこに」の葉山良二、小園蓉子、「火の鳥(1956)」の大坂志郎、他に北林谷栄、飯田蝶子、高野由美、二本柳寛など。
1956年製作/86分/日本
配給:日活
劇場公開日:1956年8月7日
ストーリー
木原家に身を寄せている瑛子は一人息子の洋平に思慕をよせていたが、洋平の母は片桐建設の令嬢千恵子と結婚させようとしていた。洋平と千恵子の見合の日、父の墓参に行った瑛子は、昔家にいた婆やのきんに会った。一方洋平は出張で香港に旅立つ。羽田からの帰途、電車の中でのぶと瑛子はスリ事件にまきこまれ、意外にも瑛子に犯人の疑いはかかるが、寃罪は晴れたものの木原の家に帰る気になれずきんの家を訪ねた。瑛子はそこに安住の地を見出したが、息子健一はスリの仲間の一人であった。香港から帰った洋平は瑛子の行方を探し、瑛子も洋平を想いながら働き口をキャバレーに求めた。片桐建設のガーデンパーティの日、接待に出ていた瑛子は洋平の母に逢い、冷い言葉をあびせられる。その後姿を見た洋平は彼女の後を追う。失意のどん底に落された瑛子はスリ事件で知合った吉住の支配する箱根のゴルフ・ハウスのメイドになろうと、きんの駄菓子屋の最後の手伝いを健一と共にするのだった。そこへ来あわせた洋平は二人の楽しそうな姿を見て引き返す。そして千恵子と結婚する。四年前に妻を亡くした吉住は瑛子に結婚を申込むが突然のこととてきんに相談の上と帰京する。霧深い夜、洋平と瑛子は偶然逢ったが所詮誤解から出発した運命の二人。金井家での生活は楽しく健一も瑛子にほのかな愛情を覚えた。洋平は千恵子と離婚を決意、瑛子のもとをたずねたが、身重の千恵子を知る彼女は最後の別れをする。一方健一は泥沼からのがれることができず仲間と一緒に四国にわたり捕われる身となったが、切々たる更生の手紙を瑛子ときんに送る。健一の愛情が真実なものと知った瑛子は人生の再出発に心はずませ四国へ急ぐ。釈放された健一には洋平と千恵子の好意で片桐建設での職場が待っていた。瑛子は健一の胸の中に嬉し涙をたたえるのであった。