おんな船頭唄
劇場公開日:1956年6月28日
解説
水郷潮来を背景に三橋美智也の唄をのせて描く歌謡メロドラマ。監督は「乙女心の十三夜」の小林桂三郎。“小説の泉”に連載された瀬戸口寅雄の原作を戸塚量也と小林桂三郎が脚色、撮影担当は「快傑耶茶坊 (前後篇)」の中尾利太郎。主な出演者は「雑居家族」の安井昌二、「東京バカ踊り」の宍戸錠、木室郁子、「あの娘が泣いてる波止場」の三橋美智也、その他堀恭子、広岡三栄子など。
1956年製作/65分/日本
配給:日活
劇場公開日:1956年6月28日
ストーリー
父亡きあと、病弱の母を抱えた白井あや子は、水郷潮来で釣り舟の船頭をやり、家計を支えていた。あや子には、バスの運転手をしている宮川という恋人があった。あや子の親友寺島雪江は宮川と同じバス会社で車掌をしていたが、二人の恋を祝福しながらも何となく妬ましく感じていた。しかし宮川は近頃、遊覧船の機関士山形健二が、あや子を愛しているらしいと知り、彼女に冷く当っていた。一方、山形はあやめ屋の女将加代からあや子と宮川の仲を聞き、妻亡きあとの心の寄り杖をへし折られたように感じた。あやめ祭りの夜、艶歌師三田道也と仲間の徳さんはヨタ者常吉や仙公に襲われたが宮川に助けられた。山形はあや子の留守宅に母親の房を訪れ、あや子との結婚を申し込んで房を喜ばせたが、通りかかった宮川に立聞きされてしまう。宮川は絶望の末、遂に東京へ去った。あや子は或る日、とがめられるまま房に宮川の子を宿したことを告白した。失望した房は数日して死にあや子もやがて過労で倒れた。そんなあや子を山形は心を尽して看病に努めたが、「宮川さん……」という彼女のうわ言を聞き、さらに医者から妊娠四カ月だと知らされて呆然とした。しかし生れる子を我が子として育てることに決心した山形は改めてあや子に結婚を申し込み、二人はその春に結婚した。秋には子供も生れ、山形の喜びは大きかったが、やがて来たあやめ踊りの日、雪江は雑沓の中に宮川の姿を見付け、あや子に知らせた。あや子は再び愛の板挟みに悶えたが意を決して子供は山形の子であると言い切り、山形の妻として以外生きる道のないことを訴えた。翌朝、宮川は山形、あや子雪江らに送られて思い出多い潮来を去って行った。