十九の春

劇場公開日:

解説

「三人娘 只今婚約中」の橋田寿賀子の脚本を「お嬢さんの求婚」の尾崎甫が監督、「美貌の園 (前後篇)」の小杉正雄が撮影を担当した。主なる出演者は、「父と子と母」の故里やよい、「裏町のお嬢さん」の井川邦子、「続・この世の花 第6・7部」の水原真知子、「柔道流転」の伊沢一郎、新人清川新吾、ビクターの歌手神楽坂浮子など。

1956年製作/53分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1956年4月17日

ストーリー

芸者屋菌田屋の養女として育った薗田妙子は、子桃の名でお座敷にも出ているが快活な女子高校生でもあった。ある日、彼女はスケート場で転倒、脳震盪を起しアルバイト指導員の高校生、宗方春太に介抱されそれが縁で二人はお互にほのかな愛情を持った。春太の家は、母さき、姉糸子との三人暮しで糸子は、貿易会社に勤め同じ会社の佐伯とは恋仲であった。父の宅蔵は元芸者のゆうを妾として別居していた。妙子と春太とは何度か逢う中に親しさを増していった。ある日、春太の家庭を訪れた妙子は、その明るさにやがては、芸者になる身を恥じるのだった。一方春太は父の行状が原因で姉の結婚話が不調に終ったのを知り、その憤懣を妙子に話し、芸者への怒りをぶちまけた。春太の心を知った妙子は身の上を告白しそびれ、春太が日頃欲しいと洩らしていた“世界文学全集”を贈ってきれいに別れなくてはいけないと思った。妙子の気持を知った姉芸者梶太郎は、同情して自分の客である高山から、贈物を買う金を妙子にもらってやった。別れの手紙と小切手を受取った春太は、小切手の振り出し先の高山を訪ね、自動車で高山に新橋演舞場へ連れて行かれた。“銀杏会”--芸妓の舞踊発表会の舞台に子桃として出る舞台衣裳の妙子に会った春太は、彼女が芸者である事を知り、小切手を叩きつけ帰ろうとする時、ゆうに逢った。彼女から糸子と佐伯を結びつけるために宅蔵と別れた事を聞かされ自分もこれから再出発しますという言葉に、芸者の中にも真実がある事を知った春太は、舞台で踊っている妙子を、温かい気持でみつめるのだった。

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