美貌の園(前後篇)
劇場公開日:1956年2月12日
解説
大林清の小説を「続・この世の花 第4・5部」の富田義朗が脚色、「素晴らしき招待」の杉岡次郎が監督、新人小杉正男が撮影を担当した。主なる出演者は「君美しく」の菅佐原英一、「むすこ大学」の七浦弘子、「早春」の山本和子、「花の渡り鳥」柳永二郎、「お嬢さんの求婚」の銀令子など。
1956年製作/日本
劇場公開日:1956年2月12日
ストーリー
前篇・嘆きの花--豊岡紡績富士宮工場の女工亘理諄子は母親を自殺させた父であり同社の社長でもある寺島洋三に対して極端なまでの憎悪から女工達をそそのかして女工の田辺春枝を会社の犬として吊し上げるが、諄子を愛している舎監の夏目恭介に諭され会社をやめて田舎へ帰ってしまう。春枝も工場主任佐柄との関係が明らかになったために会社をやめた。この事件の後恭介は本社の宣伝課へ転勤となったが、その陰には社長令嬢乃夫子の好意によるものがあった。諄子こそかねて探していた異腹の娘と知った寺島は彼女を探すが行方はわからなかった。恭介は自分の下宿に転りこんで来た春枝をかえそうとするが今では恭介を愛する春枝は離れようとせず乃夫子に誤解された。またデザイナーの三木に救われ、ファッション・モデルとして再起し、世界的なデザイナー、シャルル・ロスタンの専属モデルとして見違えるばかりの美貌となった諄子ともようやく会えたにも拘らず彼女にまた曲解されてしまうのだった。後篇・愛憎の夜--恭介は春枝とのことが会社に知れたため、会社をやめて友人の萩野が経営する赤新聞に就職した。春枝と恭介のことを誤解した諄子は心のより所を失い、父の洋三や異母妹の乃夫子の心を傷つけ、乃夫子の婚約者である秘書の酒井をも誘惑した。乃夫子は父と諄子のことを恭介の働く新聞で知り恭介を非難するが、父の義姉に対する深い愛情を知り涙を流した。京都のホテルにいる諄子のもとにおもむいた恭介は彼女に寺島の真情を話し、寺島を父と呼ぶような素直な心になれと説いた。或るパーティで春枝に顔を傷つけられた諄子は始めて自省心をよみがえらせ、泣いて恭介に謝まった。そして、人生をやり直すために寺島は社長をやめて外国へ旅行に出かけた。彼をおくる諄子、恭介、乃夫子、酒井達の気持は明るかった。