赤ちゃん特急
劇場公開日:1956年1月29日
解説
有本靖彦の原案を「エノケンの天国と地獄」の山下与志一が「春の夜の出来事」を監督した西河克己と共同脚色し、同じく西河克己が監督した。撮影は「乳房よ永遠なれ」の藤岡粂信。主なる出演者は「朝やけ血戦場」の大坂志郎、「顔役 (ボス)」の柳谷寛、「力道山物語 怒涛の男」の南寿美子、「母なき子」の高友子、「裏町のお転婆娘」の浅丘ルリ子など。
1956年製作/66分/日本
原題または英題:The Baby and Express
配給:日活
劇場公開日:1956年1月29日
ストーリー
東京・大阪間の定期トラック便の運転手大吉と助手六平太は、今日も大吉に好意を持つ社長令嬢ミキの投げ込んだ花束の香りに胸を弾ませながら、西へ向った。沼津で夜食をとるため行きつけの“ほていや”に入り、看板娘新子のサービスに気をよくして出発した二人は、積荷の中に赤ちゃんが乗っているのにびっくり仰天、交番へ届けても管轄ちがいで相手にされず、ガソリンスタンドの佐竹と娘夕子も同情して面倒をみてくれたが、気がつくと赤ちゃんには手紙が添えてあった。大阪にいる父親松本のところへ届けてほしいとあり、番地も書いてある。大阪へ着いて早速訪ねてみると、商売に失敗したとかで、松本は行方不明。かくて大吉と六平太は赤ちゃんを同乗させたまま東海道を引返したが途中、“ほていや”の新子に赤ちゃんを預って貰った。二人が、東京で一日休暇をとって沼津へ寄ると、新子は凄い剣幕で赤ちゃんを突き返した。性質のよくない大洋運輸の常吉が、大吉の子だといったからだ。たまりかねた大吉と六平太が「赤ん坊コンクール」の会場に捨子しようとすると、この赤ちゃんが一等賞をとってしまった。ほのぼのとした気持で、二人はまたも赤ちゃんともどもトラック上の人となるが、その夜、彼らは三人組の強盗に襲われた。ピストルをつきつけられて運転しているとき、赤ちゃんが急に発熱し、驚いた二人は、ピストルの恐ろしさも忘れ、夢中で病院にトラックを走らせた。その真剣さに心うたれた強盗の一人は、進んで輸血を申し出た。強盗逮捕と“赤ん坊と運転手”の美談を新聞が報じた二三日後、赤ちゃんの母親も駈けつけた。汽車の窓から赤ちゃんを抱いた母親が沿道を走るトラックの二人にいつまでも手を振っていた。