唄祭り江戸っ子金さん捕物帖
劇場公開日:1955年12月27日
解説
ラジオ東京放送の木村重夫作「江戸っ子金さん」を中山淀次が脚色、「名月佐太郎笠」のコンビ、冬島泰三と河崎喜久三がそれぞれ監督と撮影を担当した。主なる出演者は「黒帯無双」の若山富三郎、「笛吹若武者」の美空ひばり、「いらっしゃいませ」の瑳峨三智子、「けちんぼ長者」の柳家金語楼、他に久々の川田晴久、久保幸江など。
1955年製作/91分/日本
劇場公開日:1955年12月27日
ストーリー
初春のお江戸は市村座の舞台で「児雷也」の開幕中、立役者市川長十郎が何者かに短銃で狙撃された。上を下への大騒ぎにまぎれ、蜂の巣長屋に住むスリのおとぼけ銀次が、冷然と屍体を見詰める宗匠頭巾の黒瀬甚内から抜き取った財布の中には、三人の名前を書いた紙片が入っていた。あくる日、南町奉行遠山金四郎の呼び出しを受けた銀次が、十手をあずかり、御用聞きとして不可思議な殺人事件の探査に乗り出した折も折、浅草奥山の娘軽業春駒太夫一座の掛小屋で、市村座と同じ手口の殺人が繰り返された。金四郎は与力の笹山左近から、春駒太夫がただの芸人ではないらしく、紫紋十郎という尺八屋敷の浪人がしばしば楽屋に出入すると聞き、尺八屋敷を内偵することに決心したが、不敵にもその金四郎の役宅の前で、三人目の男が殺された。瀕死の男の口から洩れた「秋風寺」という言葉を手掛りに探って行くと、秋風寺は取り潰しとなった一色家の家老で、春駒太夫こそは一色家の初花姫だと判った。銀次は妹美代の小唄の師匠お千賀の家にかくれている甚内を召捕ったが、その夜、甚内は何者かの手で毒殺されてしまった。一方、尺八屋敷を引き払った秋風寺一味は姫の意に背いて、向島の寮の新築祝いに一色家取り潰しの張本人水野老中を招いて暗殺しようと図ったが、そこへ現れたのは金四郎と、銀次を頭とする蜂の巣長屋の面々で、秋風寺は奥座敷で火薬を爆発させて自決した。初花姫とおつきの源太に縄をかけた左近を、金四郎が咄嗟の気転で「たわけッ、人ちがいじゃ」と叱った。初花姫と源太の眼に感謝の涙が光っているのを見て、金四郎と銀次はニッコリとほおえむのであった。