電光空手打ちのレビュー・感想・評価
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高倉健ファンがしみじみするためだけの映画
知る人ぞ知る高倉健のデビュー作(&主演作)。不殺・受け身を題目とする沖縄空手の名人に惚れ込んだ高倉健が一所懸命修行に励む。大作の付け合わせ&新人俳優のお披露目映画ということもあり作りが雑なのは仕方がないと思うが、それにしたって高倉健が短気すぎる。不殺・受け身の題目はどこへやら、師匠の叱責もいざ知らず迫り来る悪漢たちを次から次へとめった打ち。そらまあ破門もむべなるかなと得心せざるを得ない。元同門生のライバルとサシで戦うラストシーンも消化不良のまま呆気なく終幕してしまった。不殺・受け身とはなんだったのか、この不自然きわまる終わり方はなんなのか、そして電光空手打ちとはなんだったのか。あまりの不可解に雷に打たれたかのごとく唖然と口を開けるほかない我々観客こそがその秘儀のターゲットに他ならなかったのではないかと今になって思う。それにしても高倉健はこの頃から紛うことなく「高倉健」だったんだな、というか本当にこういう演技しかできないんだな、と改めて知ることができるいい機会ではあった。あまりにも朴訥であまりにも飾り気のない演技は確かに「フレッシュな新人俳優」とはお世辞にも言い難い。そもそも本作については本人も全く乗り気じゃなかったらしいし。だから彼が極道映画という活路を見出すことができて本当によかった。でなきゃド三流の大根役者として映画史の闇に葬り去られていても不思議ではなかったと思う。
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