見合い旅行
劇場公開日:1955年11月15日
解説
小説新潮所載の吉屋信子の小説を「婦系図 湯島の白梅」の共同脚色者の一人、相良準と「天保六道銭 平戸の海賊」の棚田吾郎が共同脚色し「講道館四天王」の枝川弘が監督、「浅草の鬼」の秋野友宏が撮影を担当した。主なる出演者は「婦系図 湯島の白梅」の山本富士子、川上康子、見明凡太朗、宮島健一、「浅草の鬼」の坂口美沙子など。
1955年製作/90分/日本
劇場公開日:1955年11月15日
ストーリー
北海水産に働く谷川圭吉は、銀座へ出ようとして停めた自動車のことから、ある女性と同車する羽目になった。銀座で降りた二人はそのまま別れたが、圭吉の胸には名も知らぬその女性が深く刻み込まれた。北海水産の社長は圭吉の亡父の旧友で、母一人子一人の圭吉に何かと面倒を見ている。ある日、社長は圭吉に見合いをすすめた。これはかねて圭吉に仄かな想いを寄せている社長の娘百合子の作戦で、圭吉が欠席したことから行き悩みの形となったが、相手の女性は今田登喜といい、彼女こそ圭吉が自動車で知り合った女性であった。社長の再三のすすめに圭吉は北海道へ出かけ、今田家を訪ねるが、肝腎の登喜が風邪気味なので、見合いは明日に延期された。その日、番頭万平の娘で町の不良と駈落ちしていた芳子も今田家へ帰って来た。家人のもてなしで寝床に入った圭吉は夜更けて女の声に夢を破られた。実は私には親にもかくした恋人があるので、この縁談を断ってくれと、暗の中で女はいうのだ。一切が不可解のまま帰京した圭吉は約束通り、断りの手紙を書き送った。失意の底に落ちたのは彼ばかりでなく、その手紙を受け取った登喜も悲しかった。彼女もまた犠牲者の一人だったのである。圭吉を忘れられない登喜は無断で上京し、北海水産に圭吉を訪ねたが、楽しそうに出てくる圭吉と百合子の姿に思わず立ちすくんだ。しかし間もなく街で会った芳子の告白からすべてが判明した。暗の中の女の声は芳子であったのだ。一方圭吉の心を知って百合子も身をひき、登喜と圭吉は結ばれた。