続・この世の花 第4・5部
劇場公開日:1955年11月6日
解説
雑誌『明星』連載の北条誠の小説を「おんな大学」のコンビ富田義朗が脚色、穂積利昌が監督、「柔道開眼」の斎藤毅が撮影を担当した。主なる出演者は「柔道開眼」の川喜多雄二、「綱渡り見世物侍」の水原真知子、「かりそめの唇」の淡路恵子、「あこがれ(1955)」雪代敬子、「燃ゆる限り」の夏川静江など。なおこの映画は56年3月「この世の花」一、二、三部として発表したものの続編で一部二部からなっている。
1956年製作/日本
劇場公開日:1955年11月6日
ストーリー
久美子は政略結婚の犠牲となって愛人有川の子を宿したまま富豪吉野に嫁いだが、やがて汚職事件にからまる父の自殺、破産した良人の病死と重なる不幸に、愛児多加志と信州に去った。その頃、有川は製紙会社の重要な地位にあり、妻由美と幸福な日を送っていたが、多加志の病気を知るや会社の出張にかこつけて信州に向い、それが原因で由美と別居することになった。事情を知った久美子は多加志をつれて、信州から姿を消し、有川は酒に悩みを忘れようとした。ある日、会社の宴会で有川は芸者美智丸と親しくなっが、彼女が会社の得意先の社長の想いものだったので美智丸は自殺を図り、有川は会社を辞めた。月日が流れ、奇しくも大阪の同じ料亭で働くようになった久美子と美智丸は互に愛する男が有川とは知らず励まし合っていたがある日、トラック運転手に落ちぶれた有川に会う日が来た。有川は久美子親子を訪ねるが、久美子は悲しみをこらえて別れるのだった。久美子は有川を諦めて化粧品会社の島本社長に落籍され、病弱な多加志を病院へ、そして有川にはその会社の課長の椅子を世話するのだった。有川は親友田宮のはからいで近く母となる由美と再会し、再出発を誓い合った。多加志の病勢が悪化し、血のつながりを求める悲痛な叫びに、久美子は有川を呼んだ。有川の手を握りしめながら、小さな魂は消え去った。数日後、多加志の墓前に有川と由美が額づいていた。木立の陰からそれを見つめる久美子の眼にも涙が光っていた。